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新型ポルシェ・カイエン(PORSCHE Cayenne)

新型ポルシェ・カイエン(PORSCHE Cayenne)

 

 新型ポルシェ・カイエンが2月25日に世界同時発表された。

 

 2003年のデビュー以来、カイエンはポルシェにとって重要な存在であり続けている。ポルシェ初のSUVとして開発され、それまでポルシェに馴染みになかった中東やロシア、中国などで販売台数を伸ばし、新しい市場を開拓することに成功したからだ。

 

新型ポルシェ・カイエン(PORSCHE Cayenne)

 新型カイエンのエンジンは5種類用意されている。500馬力のV8ターボ、400馬力のV8、300馬力のV6と、ガソリンエンジンが3種類とディーゼル1種類。ターボ、カイエンS、カイエンに搭載されるエンジンは、それぞれ先代のガソリン直噴型を踏襲する。トランスミッションは新開発の8速ティプトロニックSだ。PDKは採用されなかった。

 

 4輪駆動システムも一新された。パナメーラと考え方を同じくする、前後の駆動力配分に機械式クラッチを用いたフルタイム4輪駆動システムである。

 

 ボディ全長は36ミリ、全幅9ミリ、ホイールベースは40ミリも延ばされたが、全高は5ミリ低められた。その目的は車内スペースの拡大にあるようで、160ミリの前後スライドが可能になった後席と、120リットル拡大した荷室容積がその結果だ。

 

 最も注目されるのは、各モデルともに180kgの軽量化を実現したことだ。主要構造部分へは軽量高張力鋼板を、ボディパネル、アクスル、ボンネット、ドアなどへはアルミ材が採用された。

 

 ハーネス類を減らし、素材や構造の吟味と変更も軽量化に一役買った。軽量化の結果、燃費は23%向上し、CO2排出量は26%削減された。

 

新型ポルシェ・カイエン(PORSCHE Cayenne)

 そして、380馬力相当を発揮するハイブリッドが新たに登場する。3リッターV6エンジンに34kwを発生する電気モーターをパラレル接続し、V8と変わらぬ動力性能を実現しているそうだ。

 

 カイエン・ハイブリッドは動力性能面だけでなく、省燃費と環境性能にも成果を挙げている。パナメーラと同じように、走行停止中にアイドリングストップを行い、走行中でもエンジン出力が不要な場合には停止して走る。燃費は、8.2l/100km(12.2km/l)。ポルシェ初の市販型ハイブリッドモデルはマーケットからの期待も大きく、注目を集めることだろう。

 

 

 新型カイエンのデザインは、先代のカイエンらしさを継承しながら、いかに新しい時代のポルシェのアイデンティティ、DNAを表現しようとしている。その典型例は、前後フェンダーだ。エンジンが前にあろうと後ろにあろうと、太く力強いフェンダーはポルシェ各車を象徴するものだからだ。

 

 確かに新型カイエンはどこから見てもカイエンだ。でも、その姿は明らかに新しい。たった5ミリしか違わないのに、ずいぶんと低くスマートに見える。ヘッドライトやテールライトなどは、完全に新しい造形モードに入っている。

 

新型ポルシェ・カイエン(PORSCHE Cayenne)

 印象が変わったのが、センターコンソールだ。パナメーラのそれのように、幅の広いコンソールが前後を貫き、vertuの携帯電話のようにその上の左右に操作ボタンが並んでいる。BMWのi-Driveのように、機能を階層的に整理したデバイスは用いられていない。

 

 いずれにせよ、軽量化と最新の電子制御がカイエンの走りっぷりをどれだけアップデートしたのか。早く乗ってみたいものだ。

 

 

 

 

 

 

 

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http://www.porsche.com/japan/jp/
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/