トヨタ・プリウス・プラグインハイブリッド(PHV)のメディア向け体験会に参加した。東京水道橋のトヨタ本社からお台場のメガWEBまで走り、そこで1時間ほど充電し、再び、水道橋に戻ってくる。往路は走り慣れた一般道で、復路は首都高速を使った。
プリウスPHVは、トヨタ初のリチウムイオン・バッテリーを搭載し、フル充電から23.4kmはエンジンを使わない電気自動車として走ることができる。その後は、エンジンを使用し、現行のプリウスと同じようにハイブリッドカーとして走る。
純粋な電気自動車との違いは大きい。電気自動車がバッテリー内の電気を使い果たしてしまうと、そこから1センチも走ることができないのに対して、PHVは、積んでいるガソリンを使ってエンジンを回し、(プリウスの場合)エンジンとモーターを組み合わせながら走行できる。もちろん、純粋な電気自動車の航続距離は、プリウスPHVの23.4kmよりも長いが、気温や走り方、使い方によって大きく異なってくる。ちなみに、純粋な電気自動車である三菱i-MiEVのカタログ上の航続距離は160kmである。
電気自動車は航続距離の短さと不確定さによって、現段階では短距離移動のためのコミューターとしての使われ方が想定されることが多い。それに対して、PHVは電気自動車として走る最初の距離こそ短いが、その後の航続距離が長く、融通が効く。
プリウスPHVの長所は、もうひとつある。充電の簡単さと時間の短さだ。電気だけで23.4km以上走り、ハイブリッドで走って到着した場所の家庭用電源で充電可能で、200ボルトなら約100分、100ボルトなら約180分でフル充電できる。フル充電できれば、そこからまた23.4km電気だけで走ることができるのである。
i-MiEVの充電に必要な時間は、家庭用の100ボルト電源で約14時間、200ボルト電源でも約7時間と長い。200ボルトの急速充電器を使えば約30分で可能だが、急速充電器を用いるには高圧電線を引き込む必要があり、あまり現実的ではない。
プリウスPHVのカタログ上の燃費は、57.0km/lと驚異的だ。トヨタは、2年後に数万台規模を現実的な価格でグローバルに販売すると表明している。
ちなみに、お台場からの復路での僕の燃費は、27km/lだった。首都高速が混んでいて、加速と減速を繰り返したことによってエンジンが作動して、21%ハイブリッドモードで走行したことが原因だろう。それでも、燃費のためではなく、普通に運転しての27km/lは立派だと思った。
「もっと良い燃費値になるはずなんですが」としきりに悔しがっていた開発者の田中義和氏(第2乗用車センター)の技術者魂を見た。