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Porsche Turbo (ポルシェ・ターボ)

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 

 

 ポルシェ911シリーズの「ガソリン直噴」エンジン化+PDK(ポルシェ・ドッペルクップルング、ツインクラッチ式トランス ミッション)化プロジェクトが完了した。“最強の911”であるターボも、エンジンがガソリン直噴化され、オートマチックトランス ミッションがPDKに改められた。もちろん、6速マニュアルも選べる。

 

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 狙いは、さらなるパフォーマンスの向上と燃費の向上だ。3.8リッター6気筒ツインターボ水平対向エンジンは、効率が改善されたエクスパンションインテークシステムと可変タービンジオメトリー付きターボチャージャーが採用され、最高出力が20馬力増強、500馬力に達した。それによって、最高速度は312km/h。停止状態から100km/hに達するのに、わずか3.4秒しか要しない。燃費は、8.7km/l。

 

 6代目に進化したターボは、「PTV」(ポルシェ・トルク・ベクトリング)という新たなテクノロジーも装備し、ステアリング精度とコーナリング安定性を向上させ、より高速でコーナーを走行することを可能にした。

 

 従来からの「PASM」(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)の効果との相乗効果もあり、新型ターボの速さは一段と鋭さを増した。

 

 

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 

 

 ポルトガル・リスボン近郊の荒れた舗装の一般道でも、かつてF1ポルトガル・グランプリが行われていたエストリル・サーキットでも、抜群の安定感とターボ独特の加速感の虜になった。

 

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 歴代ターボは、911をベースに作られたスーパーカーだったが、911よりも速い分、スパルタンな乗り心地と重い排気音などが一線を画していた。「疲れている時には乗りたくない」と思わせる凄みがあった。しかし、今度の6代目は、エンジンが変更されたことの影響が大きく、速さは増したが、凄みは姿を消した。それをモノ足りなく思うターボユーザーもいるかもしれないが、僕は歓迎したい。長距離を走る時などに、疲労が軽減されるからだ。

 

 

 

 また、オプショナルでパドルシフトが選べるようになった。昨年の911やボクスターなどでのPDKの導入時に於ける、ステアリングホイール上のボタンでのシフトに対するメディアからの拒否反応が強かったことから、もうひとつの選択肢としてパドルがオプショナルに設定されたのだ。

 

 「ユーザーからは、クレームは一切出ませんでした」(開発担当者)

 

Porsche Turbo(ポルシェ・ターボ)

 個人的には、パドルを選ぶ必要はないと思う。ボタンの方が、片手でアップとダウンが可能だし、“スポーツ”もしくは“スポーツプラス”モードを選択して走れば、ドライバーがいちいちパドルでシフトしながら走るよりも、PDKに任せておいた方が、ずっと賢く、速く走れるからだ。昨年、PDKを装備した911タルガでイタリア・ガルダ湖周辺の急峻な山道を走った時にもPDKの賢さを痛感させられたが、今回、ターボでエストリルを走って、改めてそれは確信に変わった。

 

 

 

 

 

 

 

Porsche Turbo (ポルシェ・ターボ) 問合せ先

ポルシェ カスタマーケアセンター
0120-846-911
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/