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ポルシェ・パナメーラ


  ポルシェ・パナメーラの発表が、いよいよ秒読みに入ってきた。9月のヨーロッパを皮切りに、世界中に供給される。


  パナメーラは、ポルシェ念願の4ドアGTで、満を持して登場する。創業以来のスポーツカーと、10年前に発売され、いまやポルシェの大黒柱の一本にまで成長した、オフロード4輪駆動車のカイエン。3本目の柱となるのが、4ドアGTのパナメーラだ。


  発表前のパナメーラの助手席と後部座席に、ポルシェ本社のバイザッハ・テストコースで乗って来た。外部の者がハンドルを握れるのは、まだ少し先までのお預けだ。

  初めて対面するパナメーラの第一印象は、“ポルシェのようで、ポルシェに見えない”スタイリングだ。911やボクスター、ケイマンなど、ポルシェのスポーツカーに特有の引き締まった印象よりも、圧倒的な質量による存在感の大きさの方が先に感じられてくる。


  乗り込む前に、グルリと一周してみる。サイドやリアウインドウの切り取り方が、911やカイエンとの共通性を感じさせる。フロントフェンダーのエアアウトレットやリアウイングなどのディティールにも、ポルシェらしさが宿っている。

  最初に、最もベーシックな「パナメーラS」の右後席に同乗した。4.8リッターV8エンジンをフロントに搭載し、後輪だけを400馬力とPDKで駆動し、0-100km/h加速タイムは5.0秒。最高速度は、283km/h。

  走り出して驚かされるのは、速さもさることながら、その静粛性の高さと乗り心地の快適さだった。高性能車の後席は、その辺りが蔑ろにされやすいが、パナメーラは例外的だ。

  続いて乗ったのは、「パナメーラ4S」。四輪駆動のために、「S」よりも姿勢変化が少ない。4ドアの大きなボディを持つGTとしては、驚異的な加速力と安定性の高さだ

ポルシェ・パナメーラ

  そして、最後は「パナメーラ・ターボ」の助手席。0-100km/hが4.2秒で、最高速303km/h。911ターボと変わらないようなダッシュに軽い目眩さえ覚えてくる。こんな強烈な加速を助手席で味わったことはない。ポルシェの伝統通り、ブレーキは非常に強力で、効きは変わらない。

  パナメーラは、その巨体からは信じられないほどのパフォーマンスと、911やボクスターなどと変わらない走りっぷりを見せた。ライバルが、ちょっと思い浮かばない。すでに、日本でも価格は発表されており、「S」1374万円、「4S」1436万円、「ターボ」が2061万円だ。日本での発売が、待ち遠しい。

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モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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