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最強スポーティ版カイエン登場「ポルシェ・カイエンGTS」


ポルシェ・カイエンGTS  ポルシェ・カイエンGTSが、カイエンシリーズに新しく加わった。ポルトガルのファーロ近郊で行われた国際プレス試乗会に参加したので、運転した印象を報告したい。


  カイエンは、昨年第2世代にモデルチェンジし、SUV(Sports Utility Vehicle)マーケットの中で確固たるポジションを築いている。SUVはランドローバーなどの専業メーカーが作るか、ごく限られたモデルが存在しているに過ぎなかった。それが、この10年間であらゆる自動車メーカーがSUVを作り出すようになった。その中でも、カイエンはスポーツカーメーカーのポルシェが作るだけあって、動力性能とクオリティの高さから世界中でヒットを続けている。

ポルシェ・カイエンGTS
 
ポルシェ・カイエンGTS

    そこに追加されたのが、カイエンGTS。V8エンジンの出力を20馬力パワーアップし、405馬力に。トランスミッションの最終減速比をローギアード化。シャシーは、スチール製スプリングとダンピング制御システムであるPASM(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)を組み合わせ、大パワーを受け止めている。

GTSには、専用のエクステリアデザインが施されている。フロントとリアを「カイエン・ターボ」同様のデザインとし、左右のホイールハウスは14ミリ張り出している。295/35サイズの21インチタイヤが標準装備されるから、遠くから見分けが付く。

  走り始めて最初に強く感じるのは、まるで911やボクスターのような、ガッチリとしたボディ剛性の高さだ。SUVは悪路を走破するためにサスペンションに多少のコンプライアンスを持たせ、専用のタイヤを履かせるから、クルマが上下左右に動くが、カイエンGTSには、それがない。ボディ剛性の高さを、より直接的に感じられるようになった。

加速そのものは時速100kmまで6・1秒(ATは6・5秒)と鋭いが、重量が2・2トンもあるので、小型スポーツカーのようにヒラヒラリとまではいかない。車高が24ミリ低くされたから乗り降りがしやすく、視界も低くなった。カイエンGTSは、911やボクスターなどのスポーツカーのテイストに最も近い、辛口のカイエンだ。オフロードでの走破性を求めず、舗装路しか走らない人には、とても魅力的に映るだろう。また、日本でも6速マニュアルトランスミッションを選ぶことができる設定も朗報だ。

 
ポルシェ・カイエンGTS
 
ポルシェ・カイエンGTS

ポルシェ・カイエンGTS
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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