TOP > Car > Car コンシェルジュ 金子浩久 > ポルシェ パナメーラ

ポルシェ パナメーラ


  その存在が写真などで事前に明らかにされていたポルシェ パナメーラが、ついに発表された。南ドイツで行われた国際メディア試乗会に参加してきた。


  パナメーラは、全長4970ミリ、全幅1931ミリ、ホイールベース2920ミリにものぼる大型4ドア4座席GT(グラントゥーリスモ)だ。ポルシェにとって、初めて進出するカテゴリーである。


  発表されたのは、4.8リッターV8エンジンを積む3モデル。自然吸気エンジンの後輪駆動「S」と4輪駆動「4S」。トップモデルのターボ過給された4輪駆動の「ターボ」は、500馬力を発生し、最高速度は303km/h。0-100km/ h加速が4.2秒。EU5基準の燃費は、総合値で8.2km/l。CO2排出量286g/km。ポルシェ初のアイドリングストップ機構が全モデル標準装備され、赤信号などで停止すると、ほぼその直後に停止する。


  独立したトランクはなく、テールゲートを開けると、後席後ろがそのまま荷室になっている。3対2に分割された後席の背もたれを倒せば、その分、荷室容積が増加する。


  国際メディア試乗会が、ミュンヘン空港ビルから始まったことで、ポルシェがパナメーラに掛ける意気込みがうかがえた。参加者はまず後席に乗せられ、ショーファーの運転のもと約150キロ南に下り、ガルミッシュ・パルテンキルヘンに赴いた。ポルシェの、こんな試乗会は初めてだ。


  「後席の乗り心地を、ご堪能下さい」


  後席に座り、最初に眼を惹くのは、センターコンソールだ。左右の席を隔てるように、センターコンソールは高くダッシュボードから後席まで一直線につながり、前後それぞれの左右席を隔てている。


  感心させられたのは、センターコンソールで左右を隔てることによって、閉所感ではなく、エクスクルーシブなパーソナル感覚を醸し出しているところだった。前席並みの立派な背もたれを持つシートに身を委ね、隣と適度に距離が保たれた後席は、ヨーロッパ線のファーストクラスの雰囲気に似ている。


  シートは上半身までしっかりとホールドされるから、いくら飛ばされても、揺すられることがない。一体感すら、生まれてくる。ハンドルこそ握っていないが、後席からでも積極的にドライビングにコミットメントしている気になる。とても新鮮な感覚だ。その意味で、パナメーラはポルシェが初めて後席を前席同様に重要視して作ったクルマだ。


  3モデルともにサイズを感じさせないほど、十分以上に速く、スポーティな感覚に溢れている。それでいて、乗り心地を含めた快適性のレベルはとても高い。ガッシリとした強固なボディに、正確に作用するステアリングとサスペンションの働きようは、911やカイエンなどの他のポルシェを思わせる。反対に、他に似たクルマをちょっと思い出せない。2010年には、V6エンジン搭載モデルとハイブリッドシステム搭載モデルが発表される。


  コンセプト、スタイリング、パフォーマンスのどれを取っても、他に例のない独自性の高いクルマだ。ポルシェは、また新たな一歩を踏み出した。

 

 

<< 2009年3月に行われたテストコース試乗会のレポートはこちら

 

 

ポルシェ パナメーラ PHOTO GALLERY





モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/