ランドローバーの3モデルがフルモデルチェンジした。3モデルとは、レンジローバー、レンジローバースポーツ、ディスカバリーなどV8エンジンを搭載する大型オフロード4輪駆動車だ。ちなみに、SUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)はアメリカ英語で、ランドローバー社は自社製品をSUVと称さず、一貫してオフロード4輪駆動車と呼んでいる。
今回のモデルチェンジは、ボディスタイルこそ大きく変わらないものの、内容的には大きな変化を伴っている。その最大のものは、新型エンジンの採用だ。新型エンジンは、排気量が拡大され、ついにガソリン直噴化された。現在、ヨーロッパの高級車メーカーは、どこもガソリンエンジンの直噴化に努めている。狙いは一緒で、直噴化することによって出力を向上させながら、同時に燃費を向上させ、排出するCO2量を削減することができるからだ。ランドローバー社もこの例から漏れず、3台は最高出力375ps、最大トルク510Nm(スーパーチャージド版では、それぞれ510psと625Nm)を発生している。
レンジローバースポーツを運転してみると、単にエンジン出力が増強されただけでなく、急峻な山道でペースを上げても、高回転まで回る軽快さが心地良い。
スーパーチャージド版では、「アダプティブ・ダイナミックシステム」が採用されたのも、走行性に貢献している。ダンパー上下動、ロール、ピッチング、バンプリバウンド、ホイールホップ(突き上げ)などの5つの要素をモニターし、適切なダンパー設定を連続的に行っている。また、パドルシフトの採用も、スポーティ走行をより楽しくするだろう。
もともと、レンジローバースポーツと他の2台のインテリアはクールなロンドンモダン調で大いに魅力的だったが、今回のモデルチェンジで、さらに磨きが掛けられた。メーターパネルなどは、他の高級車が多色使いで、えてして混乱しがちになるところを、なんとモノトーンでまとめてきた。格調高く、品がある。
レンジローバースポーツは、オンロードでの走行性を重視したオフロード4輪駆動車(矛盾しているようにも聞こえるが)だが、今回の改変でその完成度はさらに上がった。その実力と魅力は、長距離を走れば走るほど享受することができるだろう。