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ジャガーXJ(JAGUAR XJ)

ジャガーXJ(JAGUAR XJ)

 

ジャガーXJ(JAGUAR XJ)

 ジャガーXJがフルモデルチェンジした。その変わりようは、大胆だ。ジャガーといえば、誰でも、あの流れるようなスタイリングを思い浮かべるだろう。クラシカルだったジャガーXJが、超モダンな出で立ちで現れてきた。

 

 フランス・パリ南西郊外のヴェルサイユで開催されたメディア試乗会で実物に対面すると、XJの様変わりは、より一層と鮮やかなものだった。Cピラーがブラックアウトされており、ルーフの色もボディと異なっている。前席用のスライディングルーフと後席用のガラスルーフが標準装備される。

 

 XJには、組み合わせによって4つのバリエーションが存在する。ガソリン直噴化された5リッターV8エンジンの自然吸気版とスーパーチャージド版。標準のホイールベースとロングホイールベース仕様。エンジンとボディが2種類ずつあり、モデルは4種類。

 

 最初にハンドルを握ったのは、自然吸気エンジンを搭載するロングホイールベース仕様。

 

ジャガーXJ(JAGUAR XJ)

 かつてのXJ同様、新しいXJも乗り心地が非常に柔らかい。路面の凹凸や突起などを乗り越える時も、ショックを巧みにイナしながら進んでいく。柔らかくても、最後のところでジンワリと動きを受け止めるので、揺り動かされるような不快感がない。当たりは極力柔らかく、そして、最後でしっかりと受け止めている。包容力があるというか、器が大きいというか、歴代のXJが持っていた美点を引き継いでいる。

 

 

 

 サスペンションが柔らかいと、速度を上げて走った時にフワフワ、グニャグニャして安定感が損なわれるものだが、XJにはそれがない。ホンの少しハンドルを切っただけでも、XJは敏感に反応して向きを変える。瞬間的に左右へ切り返すような状況でも、クルマはコントロール下にあることがわかる。

 

ジャガーXJ(JAGUAR XJ)

 

 走りっ振りとともに素晴らしいのは、インテリアだ。ジャガーの伝統を守りながら、現代的な素材と技術で最先端を表現している。革、ウッド、金属のコンビネーションが醸し出すハーモニーが独自の世界を作り上げている。ボディカラーは15色、革は17種類、ヘッドライニングは5種類、そしてウッドパネルが9種類も用意されているから、組み合わせ次第で、個性的な一台を誂えることが可能だ。

 

 

 続けて、510馬力の「スーパーチャージド」に乗った。荒々しいところを一切見せることなく、強大なパワーを路面に伝えていく。乗り心地は変わらないのだから、適度にコーナーとアップダウンが連続する、空いたフランスの郊外を駆け抜けていく様子は、まるで空飛ぶ絨毯に乗っているようだ。

 

 ドライブセレクターで「ダイナミック」モードを選ぶと、「ノーマル」よりもサスペンションが引き締められ、ハンドルも少し重くなる。スーパーチャージドには、状況を問わず、このダイナミックモードが適しているように感じた。自然吸気版では、市街地や中低速域ではノーマルが、高速域ではダイナミックが向いているように思う。

 

 新型XJは、がらりとその姿を変えてきたが、走りっ振りはこれまでのジャガーの延長線上にある素晴らしいものだった。弱点は、日本で乗る場合の全長の長さによる取り回しとトランクスペースの小ささ。しかし、それらを考慮したとしても、大いに魅力的だ。

 

 

 

 

ジャガーXJ(JAGUAR XJ) 問合せ先

ジャガーコール(土日祝日を除く9:00~18:00)
0120-050-689
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/