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フォルクスワーゲン・ジェッタTSIコンフォートライン


  いま、世界中のすべての自動車メーカーに求められている最重要事項とは、省燃費と排気のクリーンさである。速さは、ある程度実現され、二の次だ。


  フォルクスワーゲンが着々と進めている、「ガソリン直噴+ツイン過給」エンジンとツインクラッチ・トランスミッション(DSG)戦略。エンジン排気量をダウンサイジングして燃費を向上させ、動力性能はふたつの過給器と画期的なDSGで効率を高めて確保する。

  2008年には、第2弾と呼べるシングル過給+7速乾式クラッチDSGがリリースされたが、今度は第3弾とも言えるツイン過給+7速乾式DSGが発表された。この組み合わせが、ゴルフ・バリアントとジェッタに搭載された。

  160馬力を発生するツイン過給エンジンに、これまでより1速多い7速DSGを組み合わせてあるので、十分以上の動力性能を引 き出している。燃費の向上も確実に見込める。よく粘るサスペンションは乗り心地も優しい。ゴルフ・バリアントに較べて、ジェッタの方がやや静粛性が高い。車内と荷室も広く、使いやすい。燃費が良く、使いやすいセダンだ。

  家族みんなが運転することを前提とした、ジェッタのようなファミリーカーの場合、カーナビゲーションの使いやすさは重要なポイントになる。その点で、ジェッタは大きなアドバンテージを持っている。

  新たに開発された「RNS510」方式のカーナビゲーションは、たいへんに使いやすい。ロジックがわかりやすく、最新の日本地図も見やすい。最新のカーナビゲーションを装備した日本車に較べると、ヨーロッパ車のそれはどうしてもひと世代分ぐらいの開発の遅れが否めなかったが、現行のフォルクスワーゲン各車は遜色ない。遜色ないどころか、多くの日本車のものよりも使いやすいくらいだ。

  車内空間の設計もよく考えられており、居心地がいい。長距離を走って疲れず、長く持っていても、さまざまに対応してくれるだろう。

  ジェッタは長く乗り続けるほど、価値が増してくるはずだ。ライフステージそれぞれに対する応用力が高い。質実剛健&実質重視。欲を言えば、ボディカラーやインテリアの造形などに、もう少し洒落っ気があっても良かったかもしれないが、誰にでも、どんなシチュエーションにも溶け込めるのは、ジェッタの才覚のひとつだ。


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モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/

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