昨年、フォルクスワーゲン・ゴルフ・シリーズに追加設定されたTSIエンジンとDSGトランスミッションの組み合わせには、とても驚かされた。
たった1.4リッターの4気筒エンジンなのに、性能は2リッター級と遜色なく、その上、燃費が素晴らしくいい。国内の山岳路をかなりハイペースで駆け回ったのにもかかわらず、リッター12kmを割ることがなかった。高速道路を一定速度で省エネ走行した場合には、リッター15kmを超えた。これは、このクラスのクルマにあっては、驚異的な値である。
性能を犠牲にすることなく、燃費を向上できたのは、TSIエンジンとDSGトランスミッションの組み合わせによる。TSIとは、スーパーチャージャーとターボチャージャーという過給器をひとつずつ装着し、ガソリンをシリンダー内に直接に噴射している。
過給エンジン自体は、別に珍しくない。ポイントは、過給エンジンに最新技術のガソリン直噴を組み合わせた点にある。性能がよく、燃費も向上しと、いいこと尽くめにダメ押しがある。イニシャルコストの上昇が少ないのだ。「ゴルフGT」モデルで比較すると、たった5万円しか価格が上昇していない。
その衝撃から1年も経っていないのに、驚いたことにフォルクスワーゲンは新世代を出して来た。それは、過給器をターボチャージャーひとつに減らし、DSGトランスミッションの段数を6速から7速に1段増やしたのだ。それらによって、エンジン出力は約18馬力ほど下がったが、性能は変わらず、燃費はさらに向上している。
ヨーロッパではすでに発売され、日本へは夏頃に導入が予定されている新型TSIエンジンと7速DSGトランスミッションが組み合わされたゴルフを、スペイン・バルセロナ周辺で乗ってみた。
エンジンは122馬力だが、旧型の140馬力とまったく違いは感じられない。モンセラート修道院のある、急峻な山々の間を走り回ってもパワー不足はまったく感じなかった。
正確な燃費を測定することはできなかったが、プレス資料には新型は約12%程度の燃費向上が見込まれるとある。道路状況や走行パターンが、ヨーロッパと日本では異なるが、第2世代に進化したTSIエンジンと7速DSGトランスミッションが、日本でもさらなる好燃費を発揮することは間違いないだろう。日本仕様が待ち遠しい。