また、これも私見だが、本当にお洒落な人の足元はジョン ロブであることが少なくない気がする。パッと見でいい靴だなあと感じ、どこのブランドかと聞くと、ジョン ロブという答えが返ってくる率が思いのほか高いのだ。ジョン ロブについて簡単に説明すると、同社はロンドンで靴の修行をしたジョン・ロブ氏によって1858年にオーストリアで創業、後に英国皇太子にブーツを献上し、王室御用達として愛用されるに至った。もともとはビスポーク(注文靴)のみを生産していたが、1980年代に入るとプレタポルテ(既成靴)も手掛けるようになり、現在はロンドンの本店ほかパリや日本など世界の各都市にブティックを構える。同社の靴は、イギリス伝統のグッドイヤーウエルトを用い、デザインもクラシックなものが多いため、ひと目見ただけでそれとわかる強烈な個性があるわけではない。しかし、靴全体から滲み出るオーラのような何かが、他のブランドの靴とは決定的に違う。その「オーラのような何か」を説明するためには、どんな美辞麗句を並べてもチープだろう。そればかりは、言葉よりも、写真よりも、実物を見て肌で感じてもらうしかない。
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