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フライトを終え、空港のラゲッジクレームへと吐き出される、バラエティ豊かな鞄たち。そこから我が鞄を探し出し、ピックアップするという行為にちょっとした快感をおぼえてしまうのは、私だけだろうか? いい鞄は、それを持っているだけで、とても誇らしい気分にさせてくれるものだが、空港ほどその気持ち昂ぶらせる場所は他にない。さらに言えば、ターンテーブル上を様々な鞄がぐるぐると回る、その様子を眺めるだけでも愉しいもの。悪趣味かもしれないが、私は自分の鞄が回ってくるのを待ちつつ、他の人の鞄をついつい品評してしまう。ラグジュアリーなブランドものあり、アルミ合金のハードケースあり、色鮮やかなレザーの鞄あり、ポリカーボネート製の軽量タイプあり……。 いずれにせよ、私の目には、おろしたてのピカピカの新品よりも、ガンガン使われて味が出てきたもののほうが、圧倒的にかっこよく映る。 |
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その代表格とも言えるブランドが、イギリスの名門「グローブ・トロッター」。数々の旅を共にしたであろう、風合いが増したグローブ・トロッターを空港で見る度に、本当に美しい鞄だなあと心底思う。念のため簡単に説明すると、グローブ・トロッターは1897年にイギリスで誕生した老舗ブランド。100年以上の長きに渡って、トラベルケースを専門に、ハンドメイドの少量生産というスタイルを貫き通してきた。その気品高い佇まいと優れた信頼性に魅了されたセレブリティは数知れず、チャーチル元首相、エリザベス女王、故ダイアナ妃などが歴代の愛用者として名を連ねている。 |
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同社の鞄の最大の特徴は、特殊な紙を何層にも重ね、樹脂をコーティングして作られた「ヴァルカン・ファイバー」という独自の素材を用いていること。この素材は軽くて頑丈という特性を備え、現在も創業当時とほとんど変わらない製法で作られている。その歴史に裏打ちされた事実こそが、何よりもそのクオリティと信頼性の高さを雄弁に物語る。また、ヴァルカン・ファイバーは発色が優れているという側面もあり、グローブ・トロッターの鞄には豊富なカラーバリエーションが存在する。今回ピックアップしたネイビーとオレンジを見てもらえれば一目瞭然、どの角度から見ても惚れ惚れするほど美しい。 |
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とはいえ、冒頭で述べたように、その真価が発揮されるのは、長年使い込まれてからのこと。だからこそ、手元にあるだけで、早く次の旅に出掛けたくてうずうずしてしまう。グローブ・トロッターは、そんな気分にさせてくれる鞄なのである。 |