川柳という和の文芸の世界にいると、空間も含めて和食派なんじゃないかって思われがちなんですが、実は、洋の雰囲気も大好きなんです。日頃、日本語を紡ぐ生活の中に身を置いているので、ちょっとした時に洋風のものに触れると“ときめき”があるんです。
エントランスからダイニングスペースまでの動きがあるお店が特に好きで、ICONICさんのような素敵なレストランは大好きです。中に入るまでの距離が、これから物語が始まるような雰囲気、その高揚感を与えてくれると思うんです。お店に入って、食事を楽しんで席を立つまでが、表紙から一枚ずつページをめくっていくと物語が進んでいく一冊の本のような。コース料理も一つのストーリーですよね。
私にとってレストランでの食事、特別なディナーのキーワードは“ときめき”なんです。恋愛はもちろん、人生の中で嬉しい事があった時、自分にとって忘れたくない記念日にしようと思った時。そんなハレの日に、美味しい料理を頂きにレストランに足を運ぶというのも“ときめき”だと思いますし、恋愛だと、二人の物語の中の彩りですよね。レストランという空間、料理の美味、香り、色彩、そして共に過ごす時間。一緒に過ごす空間を豊かにする魔法のような要素がたくさんあると思うんです。
“ときめき”のあるレストランで過ごすクリスマスは本当にロマンティックだと思います。
私は食事をしている時「美味しい!」と思ったら、そのことをすぐに伝えたくなるんです。そうすると、相手も私の好きな物を自然にわかってくれたりするんですよね。男性も黙ってクールに食べる方よりも、多少オーバーでも「美味しいね!」って嬉しそうに食べる方がわかりやすくて好きです。味覚を分かち合いたいんですよ(笑)
私は5・7・5という非常に短い言葉での表現世界にいるからなのかも知れませんが、短いフレーズで共感したいという気持ちがあるんです。“美味しい”ってひと言が基本にあって、+アルファで、どんな風に美味しいか?っていう話に膨らめば良いですし、相手の“美味しいね!”という言葉が、囁くような言い方なのか、満面の笑顔で言うのか、表情やトーンでも感じ取れるものがあると思うんです。五感で感じる余白や余韻を共に楽しめると特別なディナーがより思い出深いものになるんじゃないかって思います。