純名りさ(以下:J)
J: | 美味しい料理が供されるというのは絶対条件ですが、やっぱり接客は大切ですね。接客と美味しい料理、客とウエイターとの距離感ってすごく難しいじゃないですか。人と人との距離って仕事をする上でもとても大切ですけれども、その距離感がわかっているレストランには、何度でも行きたいって思うんです。 どれだけ美味しくても居心地ってとても大事ですよね。 レストランで頂く料理って雰囲気、空気感がプラスされて、より美味しくなるのではないでしょうか・・・? |
栗本シェフ(以下:K)
K: | 僕はよく常々みんなに言う事があるんです。言い方が悪いかもしれませんが、所帯じみたというか、そういう雰囲気がレストランで見えたら絶対にいけないと思うんですよ。 ディズニーランドは、なんであんなにお客様が来るのか?というと、そこではお客様に夢を与えるわけじゃないですか。だから、レストランも夢を与えるというところまでは行けないかもしれないですけれども、お客様に日常とはちょっと違った空間に来たと感じていただける演出を僕らは絶対にしなくてはいけないと思うのです。 料理もお客様と向き合って供するようにしています。 昨日も見るからに初デートで来店されたカップルのお客様がいらっしゃいまして、「この料理とこの料理をシェアしたいんですけど」とオーダーを受けました。 そのまま供するのも良いのですが、初デートなので取り分ける時にお互いに遠慮してしまって、食事を楽しむどころじゃなくなると思い、「できる限り、全部取り分けてきちゃいました」と言って供すると、喜んでらっしゃいました。 |
J: | ありがたいですよね。 |
K: | ここが難しいところなんですけど、中には、「絶対に自分で取り分けたい」という方もいらっしゃるんですよ。そこの見極めというのは、もう、感覚ですよね。その辺をすばやく、一瞬にして見極められるかというのが一番大事なところだと思うんですよ。 |
J: | 本当にそうですよね。そういう繊細な感覚を持ってくださるお店だと、こちらも居心地が良いですね。私の立場から考えてみると、劇場もレストランもわざわざお客様が足を運んできてくださる場所。お客様から大切なお時間を頂くわけですから。夢を見させてくれて、現実を忘れさせてくれるような、楽しい時間を過ごせる空間でなくちゃいけないと思うんですよね・・・。そんな場所だからこそ何度も行きたくなってしまうみたいな。 |