J: |
私、最近思うんですけど、壁にかかっている美術品とか、照明とかにもこだわっていて、レストランというのは総合芸術だと思うんです。
お料理も良い素材がないと出来ない。舞台とすごく似てるなって。 |
J: |
レストランに足を踏み入れたところから、ある意味そこは劇場と同じじゃないですか。日本料理店なら、石畳に踏み出す一歩から異空間なわけで、そういうところから楽しませてくれるお店だと、こちらも嬉しくなってしまいます!! |
K: |
接客サービスがマニュアル化し過ぎちゃうと、本当に気持ちよくないんですよ。
時には遊び心というのも大事だと思うんです。
でも、それってお客様とじゃれ合う遊びとかではなくて、どうすればお客様が喜ぶかな?という事を考えて、変化球とか予想を裏切るような違う物を出す。それが遊び心ですよね。
やはりお客様はお金を払う立場なので、すごくそういうところはシビアに評価されていると思うんです。僕も食事に行った時には感じますしね。 |
J: |
それも舞台と似ていますね。アドリブですよね。
その日の空気に合わせて、どうするか。それって基本ができてないとできないことですよね。舞台で言うと稽古をちゃんとする。料理で言うと下ごしらえですか。 |
K: |
プロセスは大事ですね。それで独りよがりにならないようにしなければいけないのですけど、そうすれば絶対に違うんです。努力した分光るんです、その部分が。 |
J: |
わかります。私は簡単な料理しかしないんですけど(笑)、それでも、時間をかけた時とそうでない時は明らかに味が違うのがわかります。手間隙かけた美味しい料理があり、なおかつ気持ち良く居させてくれるレストランは、また来たいって思いますよね。舞台もレストランも、どれだけお客様に喜んでいただけるかという点で同じサービス業なんですよね。 |
本物を知る二人による熱を帯びた語らいの後、供された料理はオックステールの旨味が凝縮された「オックステールのゼリー寄せ」、プリっとしたオマール海老とラビオリに濃厚なオマール海老のソースをたっぷりかけて頂く「オマール海老のラビオリ」、肉の旨味と柔らかさもさることながら、40種の野菜に彩られた「三重牛の炭火炙り焼」、イタリア修行時代、盛り付けとお客様が喜んでいただく事を徹底的に叩き込まれたという栗本シェフの料理にはどれも、美味しさと美しさ、そして遊び心に満ちている。
供された料理を前に純名さんは言う。
J: |
素敵な空間と細やかな心配りをして頂けるレストランで、こんなに美味しいお料理が並んでいるのに・・・。今日はお仕事なので時間を気にしなければいけないのはもったいないですよね。今度は、友人や大切な人と素敵な時間と美味しいお料理をゆっくりと愉しみに来たいです。 |
K: |
今度は是非、お客様としていらしてください(笑) |
本物を知るからこそのもったいなさ。レストランという総合芸術を愉しむという事は、料理・空間・サービス、そして時間、すべてを愉しむという事なのだ。