TOP > Food > 舌鼓 > Vol.09 中目黒 土山人×奥村愛


  男性から食事に誘われるとしたら、やっぱり落ち着いた雰囲気で、あったかい温もりが感じられるようなお店だと嬉しいですかね。まさに、このお店みたいな雰囲気だと、すごく素敵だなって思います。 私の男友達って「肉、肉、肉、肉食いに行くぞ!」みたいな、野獣系というか、ガッツリ系が多いのでそう思うのかもしれませんね(笑)。でも、肉と言っても、焼肉だけじゃなくて、お肉を変わった料理で食べさせてくれるお店とか、お肉のお刺身が美味しいお店とか、そういう変わったお店には良く連れて行って貰ったりします。

  行った事のないお店だと、落ち着いていたり、温もりを感じたり出来る店内の雰囲気も大切ですが、食べたことのない美味しい料理が出てきたり、器が素敵だったり、新しい発見が出来るお店に連れて行かれると嬉しいですよね。

  なんか、「へぇ~~!」って思えるようなお店だと(笑)。




  お店に入って、雰囲気も良くて、料理も、お酒も美味しくて、ゆっくりと語らうというか・・・・・・食事をするとお互いの事が見えてくると思うんです。ちょっとした仕草で相手の事を知れたりしますし、気の遣い方だったり。

  自分が気付かない内に、何かがなされていて、後から「あ、こんな事してくれていたんだ」って気付く。そんな相手の気遣いって嬉しいですよね。さり気なく、押し付けがましくなく、だけど痒い所に手が届くというか。

  よく雑誌とかで見るのが、男性の意見で、大勢で食事をしている時に、女の人が全員に料理を取り分けるみたいな事をやり過ぎるとあんまり良くないとか。女性も同じで、相手に悪気はなくて、気を遣ったつもりなんだけれど、すごく押し付けがましく見えたりとかってありますよね。さり気ない、やり過ぎない気の遣い方を心得ている人を見ると、「おー大人だな」って好印象です。具体例は?と聞かれると、思い出せないんですけど。

  例えば、ビールを注がれたから、今度は自分が注がなきゃって相手のグラスが空になるのを待つんじゃなくて、相手が自然にやってくれているのであれば、自分も自然と気付いた時に、さり気なく無意識に出来るようになるんじゃないかな?って思うんです。

  気遣いされて、自分も何か返さなきゃって思わせる無言のプレッシャーを与えられるんじゃなくって、「ありがとう」って素直に言えて、その一言で終わりというのが、理想ですよね。

  でも「大人だな」と好印象なんですけど、逆に、慣れ過ぎている感じもするので、ちょっと危ないなって思ったりもします(笑)。

  それでも、お互い発展するつもりもなく、友達として続いていったら、それはすごい素敵だなって思うんですよね。



本日供された料理は、

 
「カマンベールチーズとゆばの味噌漬」¥880   「水なすと新さんまのサラダ仕立て」¥1,150
     
 
「自家製にしんの煮付け」¥1,000   「荒挽き田舎」¥1,050

  インタビュー後、一品料理に舌鼓を打ちながら、日本酒を愉しみ、締めに、香り高く繊細な味わいの蕎麦を頂くという蕎麦屋での王道ともいえる取材後の風景。食事と会話を愉しみながらも、それぞれの器もじっくりと吟味する奥村さんの視線と、感性の鋭さを感じた。

  さり気ない気遣い。言葉にするのは簡単だが、実行するのは難しい。しかし、それが美しい食空間をより一層美しくし、人と人との距離をより縮める事になるのかもしれない。

  取材後、『土山人』を後にして、この事を改めて強く思った。





奥村 愛
Ai Okumura

4歳よりヴァイオリンを始める。7歳までアムステルダムに在住。桐朋学園大学ディプロマコースで学ぶ。94年全日本学生音楽コンクール中学生の部第1位、99年日本音楽コンクール第2位、他受賞・入賞多数。これまでに国内の主要オーケストラとの共演をはじめ、ビエロフラーヴェク指揮プラハ・フィル、P.ガロワ指揮シンフォニア・フィンランディア、ヴェトナム国立交響楽団等多くの楽団と共演。また富士山河口湖音楽祭等にも出演。
02年『愛のあいさつ』でCDデビュー。最新CDは08年3月発売の『ポエジー』(エイベックス・クラシックス)。
公式HPはこちら
    土山人 ~自由な感性が息づいたモダンな店内で食す、現代的な荒挽き蕎麦~

  店内は自然素材を多用したモダンな空間。コンクリート塀で目隠しされた美しい坪庭には、グリーンと陶片が程良く配されており、何とも言えない風情が漂う。 「荒挽き田舎」は、ふんわりとした旨みが後から立ち上ってくるのが特徴だ。蕎麦と共に素材にこだわるつゆはバランスのいい味わいの中に程良い甘みがあり、細切りの繊細な蕎麦の風味を殺さず、豊かに共鳴し合う。別添えの粗塩と交互に頂くのもいいだろう。
  一品料理の充実も嬉しい。この空間に貫かれている自由な感性が形造る世界観そのものがただただ心地いい。そんな風に思える一軒である。

住所:東京都目黒区青葉台3-19-8  TEL:03-6427-7759  営業時間:11:30AM~2:30PM/6:00PM~11:30PM(L.O.10:30PM)
休:月曜  席数:42席  カード使用可
昼御膳¥1,500・¥3,200、 夜御膳¥4,800・¥6,000(要予約)、 グラスワイン¥700~ほか
 




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