天の邪鬼なので、世の中で騒がれる“限定モノ”にちっとも有り難味を感じない。
だって、あらゆる工業製品は永遠には造り続けられないわけだから、すべて“限定モノ”のようなものだからだ。
でも、この“限定モノ”だけは、かなりソソラれた。
ジャガーXJポートフォリオ。
ジャガーのトップモデル、XJサルーン4.2エクスクルーシブをベースとして専用のボディカラー、エクステリア&インテリア、ホイールなどを装備している。日本では、たった35台だけがデリバリーされる。
「なんだ、ただの色違いか」
初めは、僕もそう思っていた。
でも、実物を見ると、「なんで、こっちもカタログ・モデルにして欲しい!」と思わないでいられなくなった。
まず、フロントフェンダー後ろのアルミニウム製サイドパワーベント、20インチアロイホイール、クロームドアミラーキャップが、クラシカルなXJのスタイリングをガラッとモダンな姿に生まれ変われさせている。
XJは、歴代にわたって丸形4灯ヘッドライトを採用し、それらから連なる波形の凹凸を持つボンネットとそれに対応するトランクフード等々によって、いつの時代にあっても流行からは距離を置いた古典的な美しさを追求していた。
XJのそのスタイルはとても好ましいものだったが、現行型だけはアメリカで売れ行き不振をかこっている。ジャガー自身は、「スタイルがクラシック過ぎるから」と結論付けた。その反動でポートフォリオが生まれたわけではないが、アルミニウム製軽量シャシーを採用し、素晴らしいフットワークを持つ現行型の不振は大きな謎だ。
XJより小さいXFがクラシックとほど遠い、ジャガー初の現代的なスタイルをまとっている現在とあっては、XJポートフォリオは余計に魅力的に映る。
ポートフォリオ専用のインテリアのテーマカラーは、ネイビーブルー。滑らかなソフトグレインレザーのシートやダッシュパネル、ドアパネルが目にまぶしい。ネイビーには、シャンパン・コントラストパイピングが施され、モダンな印象が一層と強調されている。
エクステリアカラーは2色。セレスチャルブラックが30台、アストラゴールドが5台。また、ネイビーレザー&クロームコンビギアシフトノブやクロームJゲートサラウンドなども持つ喜びを高めている。この“限定”は、ちょっと違う。