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シトロエンC4


  以前に紹介したシトロエンC6とC5の末弟的な存在が、C4だ。


  兄貴分のC6やC5などと違って、C4は大中型シトロエンの一大特徴であるハイドロニューマチックサスペンションを装備していない。その代わりに、金属スプリングとダンパーを組み合わせたオーソドックスなサスペンションを採用している。

  では、C4は、C6やC5の柔らかく、ウオーターベッドのような素晴らしい乗り心地とは無関係かというと、そんなことはない。ここがクルマの面白いところで、異なったメカニズムを採用していても、走りっぷりが似てくる。C4は、兄貴分ゆずりの優しく柔らかな乗り心地、フラットな姿勢、機敏なハンドリングなどが兄貴たちにとてもよく似ている。

  そっくりだ。ロールは過大でどこまでも粘るが、直進時にはフラットそのもの。

  他のクルマは、ここまで柔らかくなく、その上、路面の凹凸をダイレクトに伝えてくる。

  まるで、ボディサイズのもっと大きなクルマに乗っているようなゆったりした乗り心地がC4からは感じられる。サスペンションだけでなく、シートをも含めた上での乗り心地とハンドリングの設計が行われているのだろう。長距離を走っても、疲労がとても少ない。“ボディサイズを感じさせない、ゆったりとした乗り心地”こそ、すべてのシトロエンに共通した長所だ。

  そのC4に、マイナーチェンジが施された。

  外見上の違いはあまり大きくはないが、マイナーチェンジの目玉は、BMWとプジョー・シトロエングループが共同開発したエンジンにある。

  1.6リッターのNAとターボ。どちらも、最新のガソリン直噴技術が展開されている。ガソリンの粒子を細かくした混合気をシリンダー内部に直接的に吹き込むことによって、燃焼を効率的に行い、無駄なくパワーを発生させ、燃費も向上させることができる。いいこと尽くめの技術で、C4を運転しても、その違いは明らかだった。新しいエンジンはレスポンスが明瞭で、トルクも十分に出ていてだいぶ扱いやすくなった。弱点はATが4速であること。モダンでシンプルなインテリアが大いに魅力的だ。これなら長く持っても飽きが来ないだろう。

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モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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