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ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー・スピード


  コンチネンタル・フライングスパー・スピード。


  この長い長い名前のクルマはといえば、ベントレーの新型サルーン。

  「コンチネンタル・フライングスパー」というサルーンに追加された強力版が、「スピード」というわけ。

  コンチネンタル・フライングスパーは、以前にこの連載で取り上げた「コンチネンタルGTC」や「同GT」とシリーズを形成している大型4ドアサルーンだ。ツインターボチャージド・6リッターW型12気筒を搭載し、560馬力ものビッグパワーで4輪を駆動する。内外装のクオリティはベントレーの名に恥じない最上級のもので、動力性能も快適性にも非の打ちどころがない。

ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー・スピード ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー・スピード

  そんなクルマが放っておかれるはずがなく、コンチネンタル三兄弟は世界中でヒットを続けている。V型8気筒を搭載する、より高級なアルナージュ/アズール系統と併せて、ベントレーはいまや1万台の生産キャパシティをフル稼働させている。ベントレー絶好調の立役者となったのが、コンチネンタル・シリーズなのだ。

  ラインナップに新しく追加された「同スピード」の変更点は、エンジンが610馬力にパワーアップされたことと、シャシーとサスペンションの設定が改良されたことだ。

  50馬力ものパワーアップは、もともと強烈だった加速性能をさらに向上させることに貢献している。ウエイトが2.4トンを超えているとは思えないほど、小気味よくダッシュする。

ベントレー・コンチネンタル・フライングスパー・スピード  エアサスペンションを硬軟4段階に切り替えられるシステムは不変だが、洗練度が向上した。特に、最も硬いポジションと最も柔らかいポジションでの車体の揺れの収まりが少なくなった。静粛性が向上したのも、リアシートに腰掛ける機会の多いユーザーには朗報だろう。コンチネンタル・フライングスパー・スピードはパフォーマンス指向を強めてはいるが、同時に快適性をも向上させている。英国の高級ホームオーディオ「ネイム」がオプショナルで選べるようになったのも、うれしい。

  2009年には、アストンマーチン・ラピードやポルシェ・パナメーラ、ロールスロイスのスモールサルーンなど、多くのライバルが出現することが予定されている。それらを迎え撃つフライングスパー・スピードのアドバンテージは、洗練された高性能と高品質にある。



モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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