TOP > Watch > ネクスト・ウォッチ カタログ > 現代のセラミックスと、古典的なエナメル技法の融合『ジャケ・ドロー』

グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル オマージュ・ジュネーブ 1784


  芸術的なオートマタ(機械式のからくり仕掛けによる動く人形など)作品を、数多く残した「ジャケ・ドロー」(1738年創業)の創始者であるピエール-ジャケ・ドロー。18世紀、氏が作った複雑な機構を備える時計が時のスペイン国王を魅了、王室御用達時計師となり、1774年にはロンドンに2つ目の時計工房を、1784年にはジュネーブ初の時計工房を開設し活躍しました。


  世界の王侯貴族たちを顧客とした「ジャケ・ドロー」ですが、19世紀半ば以降より休眠状態となり、創始者の名もブランド名も人々の記憶から消えてしまったのです。

  その「ジャケ・ドロー」を再興させたのが、ブランパンを復興させ、ブレゲ、グラスヒュッテ・オリジナル、オメガ、ハミルトンなどを傘下とする時計の巨大コングロマリットであるスイスのスウォッチ グループでした。

  2000年にスウォッチ グループは、各国の投資家が持っていた「ジャケ・ドロー」株を買収。ピエール・ジャケ・ドローが残したとされるデザイン画などをベースに、モダンかつクラシカルな「オマージュ・ジュネーブ 1784」、超絶的な複雑機械機能やデザインを有する「オマージュ・ラ・ショード・フォン 1738」といった各コレクションを意欲的に発表。

  ダイヤルという大きな円の中に、複数のインダイヤルを配すなど、絶妙なデザイン・バランスによりアート通の富裕層に受け入れられることに。

グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル オマージュ・ジュネーブ 1784   グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル オマージュ・ジュネーブ 1784

  高く評価される李朝の白磁の壷に見られる、無作為により完成したかのようなシンメトリー。これ以上くずしたら美とかけ離れてしまうような、ぎりぎりの調和こそが、「オマージュ・ジュネーブ 1784」をはじめとする「ジャケ・ドロー」デザインの真骨頂のように思います。

  その「オマージュ・ジュネーブ 1784」の新星が、世界時計博こと「バーゼル・ワールド2008」で発表された写真の『グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル』。歴史あるエナメルダイヤルと、現代のホワイトセラミックス ケースによる融合がポイントです。エナメル、セラミック共に、高温焼成により仕上げられますが、その際に㎜単位以下とされる収縮率などを制御するといったように高い技術を要します。

  こうした両素材の共通点から、新生「ジャケ・ドロー」では、セラミックスを「現代のエナメル」と捉え、昨年より力を入れてきています。

  なお、ピエール-ジャケ・ドローによるデッサンをインスピレーションソースとする『グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル』は、デザイン面にも「伝統と現代性」といった時空を超えた融合が見られます。

  きめが細かいホワイトセラミックス ケースは、肌の露出が増える夏のシーズンに最適です。


【SPEC】
GRANDE SECONDE CERAMIQUE, EMAIL BLANC Hommage Geneve 1784
グラン・セコンド セラミック ホワイトエナメル オマージュ・ジュネーブ 1784
17世紀から受け継がれたエナメル職人の技術と、高級時計のケース素材として使用されたセラミックとのコラボレーション。ツインバレルによる自動巻き機構。ケース径44 mm。30m防水。世界限定88本(ケースバックにシリアルナンバーを刻印)。現代的なホワイトラバー・ストラップ。2008年7月発売予定。215万2500円。
(問)ジャケ・ドロー インフォメーションデスク ℡03-6254-7288
松田朗 Akira Matsuda

ジャーナリスト まつだ あきら。東京ニュース通信社特派記者。雑誌『TVガイド』、『TVTaro』、『TVBros』などに携わる。1992年より雑誌『Begin』で時計の広告タイアップ記事を、『モノマガジン』、『VOCE』、『POPEYE』、『クールトランス』の時計特集などを。現在『時計Begin』での新連載、『ブルータス』などでの時計特集を準備。正規時計店の広告、タレントを起用するイベントなども手掛ける。