TOP > Watch > ネクスト・ウォッチ カタログ > アラン・シルベスタイン　バウハウス思想とフランスのエスプリが融合

アラン・シスルベタイン『クロノ・バウハウス2』


　アートフルかつ、遊び心満点な高級ウォッチといえば、フランスの時計メーカー「アラン・シルベスタイン」。

　 建築家、インダストリアルデザイナーとしても活躍してきたアラン・シルベスタイン氏が1987年、フランス・ブサンソンで創業。最初期より日本でも取り扱われており、既に世代を超えて、幅広い年齢層から熱狂的なファンを獲得しています。
　 特徴としては、ドイツのバウハウス芸術運動の基本的考えである「フォルムに機能は従う」という考え方。大振りなケースやリュウズ、○と△と□といった、奇抜な形態のプッシャー（クロノグラフ機能などを司るボタン）を備えていたりしますが、使い勝手に配慮されています。こうした独自性にプラスして、赤や青、黄といった、従来ならば高級ウォッチにそぐわないという固定観念のあった色遣いも上手に取り込んでいます。その配色からは、ファッションやライフスタイルにカラフルを用いるフランスらしさを感じさせます。

そんなアラン・シルベスタイン氏が高級ウォッチの分野に進出したきっかけは、自分のクロノグラフ時計が壊れて自分のデザインで時計を作り始めたことでした。地元のブサンソンがフランス時計産業のメッカだったことで、次第に時計デザインの仕事の依頼が舞い込むようになります。さらに依頼される仕事に飽きたらず、自分の作りたいものを作るため、自身のブランドを立ち上げることを決意します。そして1987年にバーゼルデビューを果たすと、1989年にはフランス革命200年記念祭の時計デザイナーに選ばれたのです。

その後も機械式時計でありながら数字をデジタル表示するジャンピングアワー、重力による干渉を分散させるトゥールビヨンといったコンプリケーション（複雑時計）を続発。まさにバウハウス思想である、デザインと機能を高次元で融合させた数々のタイムピースを完成させました。

また、デイト表示を人の表情の変化で表した『スマイルデイ』といったグッドアイディアをはじめ、意匠面での独自性も特筆もの。

2005年の世界時計博「バーゼル・ワールド」発表モデルでは、厚みのあるケース側面に仕切を設け、そこに各色を流し込むといった、とても手の込んだラッカー加工を実現。伝統技法であるクロワゾネを踏襲したものですが、アラン氏の場合は金属の仕切を作ること自体が難しいとされる、ステンレススティール素材でもこれを具現しているのです。

そして2007年には、今回紹介する『クロノ・バウハウス２』を発表。ご覧のようにケースまでをアリゲーター革素材で包み込むという、斬新なアプローチがなされています。

こうした着想を得る、氏の源泉にはきっと、デザイナーとしての経験値と共に、幼児が持つ伸びやかな発想があるのだと思います。

ブランド創設20周年の今年、日本の正規代理店であるモントレ・ソルマーレが、「アラン・シルベスタイン」をテーマとした子供絵画コンクールを実施。その表彰式が東京で行われた際、日本の子供たちと共に、同じ目線から絵画を合作する、無邪気な氏の横顔を見てそう感じました。マイフェイバリットの「アラン・シルベスタイン」を、いつの日にか手に入れたい、と思いました。


問い合わせ先：モントレ・ソルマーレ
TEL：03-3833-4211		  
アラン・シスルベタイン『クロノ・バウハウス2』

KT0610 -KRONO BAUHAUS 2 ALLIGATOR (GOLD)
アラン・シスルベタイン
クロノ・バウハウス２ アリゲーター ゴールド
 

KT0608 -KRONO BAUHAUS 2 ALLIGATOR (SILVER)
アラン・シルベスタイン
クロノ・バウハウス２ アリゲーター シルバー
 
ブランド設立20周年記念モデル。ケースは316L規格のSS（ステンレススティール）を、アリゲーター革巻き仕様。ダイヤルカラーは、アリゲーターの革の色とマッチさせている。バリエーションは写真のゴールド、シルバーほか合計9色。全カラー合計999本の世界限定。ケース径40.50㎜。厚さ15㎜。サファイア風防。3気圧防水。ムーブメントは、ETA社製のバルジュー7751。クロノグラフ。曜日を人の表情で示すスマイルデイ。ムーンフェイズ。24時間表示。各141万7500円。
松田朗 Akira Matsuda

ジャーナリスト まつだ　あきら。東京ニュース通信社特派記者。雑誌『TVガイド』、『TVTaro』、『TVBros』などに携わる。1992年より雑誌『Begin』で時計の広告タイアップ記事を、『モノマガジン』、『VOCE』、『POPEYE』、『クールトランス』の時計特集などを。現在『時計Begin』での新連載、『ブルータス』などでの時計特集を準備。正規時計店の広告、タレントを起用するイベントなども手掛ける。