TOP > Food > ソムリエ特製の読んで学べるワインメニュー > ブルゴーニュの赤い宝石「ロマネ・コンティ」


  すごく高いけれど本当に美味しいの?――――

  お客様からよく聞かれる質問です。年間平均生産量はわずかに7000本。フランス、ブルゴーニュ地方の宝石のような赤ワイン、ロマネ・コンティ。新米ソムリエールの頃、どうしても飲みたくて購入した金額は18万円でした。それから価格はどんどん上昇。自分がコンサルタントをしているワインショップで50万円を超えているプライスカードを見たときには目が点になりました。ところが現在は100万円を越えているんです。

なぜそんなに高くなってしまったのか?需要と供給の関係です。世界のワイン愛好家がたった7000本のロマネ・コンティを分け合うのですから。近年は韓国、ロシア、中国への輸出も増え、日本国内で出回る本数が減ってしまったと思われます。

  昨年の3月、ロマネ・コンティの共同経営者 オーベル・ド・ヴィレーヌ氏が来日した際、ワイン関係者向けのシークレットな試飲会が開催されました。輸入元から参加を希望するかどうか打診があり即答。ただし、参加する条件として絶対に守ってほしい約束があるとの事。ロマネ・コンティの試飲会が開かれる事を一切しゃべらないでほしい。話が広がって参加希望者が殺到する可能性があるから。この約束が守られなければ収拾がつかなくなり、最悪の場合は開催が中止もありうる。  
オーベル・ド・ヴィレーヌ氏
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ共同経営者

 
1945年ロマネコンティのラベル
    秘密を守るって大変です。だって嬉しくってしょうがないのにしゃべっちゃいけないんですから。1年前にロマネ・コンティのセラーに入れていただいた時には、緊張と興奮のあまり冷静にテイスティングが出来なかったので、今一度めぐってきたチャンスに感謝しました。

2001年のロマネ・コンティ瓶詰め本数6407本。お隣の畑ラ ターシュで19,789本、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グランエシェゾー、エシェゾー、は1万本を少し超えるぐらいです。白のモンラッシェにいたっては3185本。貴重なワインをヴィレーヌ氏の説明を聞きながらテイスティング。比較するとそれぞれの違いがよく分かります。やっぱりロマネ・コンティが一番美味しいんです。

  その1ヵ月後、お客様のバースディヴィンテージ1945年のロマネ・コンティのコルクを抜かせていただきました。心のとろける瞬間をテイスティングで経験しました。しかし心に引っかかっていたのはヴィレーヌ氏の一言。この日の事を彼に話したところ、偽ロマネ・コンティかもしれないと言われました。なぜならば1945年の生産量はわずか600本。オーナーの彼でも過去に1度しか飲んでいないのです。お客様が250万で購入されたロマネ・コンティ。これだけ華やかに香り、バランスも良く、余韻も長い、素晴らしい味わいだから偽ロマネ・コンティだったとしても許しましょうとお客様はおっしゃいました。かっこいいお客様です!

女性ソムリエールの草分け、主に中部地区を中心として活動。現在は、数少ない女性シニア・ソムリエールとして活躍。フランスシャンパーニュのシャンパーニュ協会から「シャンパーニュ騎士賞」授与。 現在も毎年、フランスを中心に世界中のワイン畑を回る。ソムリエールとして講演、講師、テレビ、ラジオ、雑誌等の活動を行う。ワイン&フレンチレストラン「サミュゼ・アン・トゥラヴァイヨン」オーナー。‘05年春より“サンヴァンサン・ワインスクール”を主宰。