
波の音を聞きながら目覚めると目覚まし時計の針はまだ6時。日本ではありえない健康的な生活です。ゆったりお風呂につかり、体をほぐしながら今日は何日なんだろうとボンヤリ考える。朝食はティレニア海を見下ろすベランダでシシリア産のスパークリングワインを飲みながらモッツァレラチーズとスクランブルエッグにひんやりと冷たいプチトマトのソースをたっぷりかけていただきます。
お昼ごはんは魚介のフリットにレモンをギュッと絞ったオードブルとウニのパスタ。きりりと冷えた白ワインに良く合います。
ディナーはおめかししてお目当てのレストランへ。伊勢海老のフリット、ヤリイカとイカ墨のリゾット、マグロのタタキ風、ワインはもちろんシシリアの赤ワイン。

8日間の滞在でワイナリー訪問は2軒だけ。ブドウの収穫時期に旅程が重なっていた為にほとんど取材ができなかったのですが、朝から晩までのんびりと、こんな時間の過ごし方もたまにはいいものですね。
さて、今回もとっておきのワイナリーをご紹介致します。シシリア島の州都パレルモ近郊のワイナリー「クズマーノ」。アルベルト(兄)とディエゴ(弟)の兄弟が運営する新しいワイナリーです。シシリア島というと太陽のイメージしかありませんが冬には雪がふり、年間を通しての気温差があります。そして標高の高い畑では朝と晩の寒暖差もありワイン用のブドウには最適の自然条件が揃っているのです。

ブドウは平均樹齢7年から15年とまだ若いのですが、島内に8箇所の畑を所有。土壌と標高、斜面の向きによって適したブドウを栽培しています。ワイナリーでは弟のディエゴがスタッフのダニエラとともに向かえてくれました。
当日はぶどう収穫の初日。ディエゴの携帯には8箇所の畑から電話がひっきりなしに入ります。ブドウの味わいを構成する成分の中で最も重要な酸度と糖度を計りながら収穫の「タイミングを決定するからです。エレガントなワインには豊かな酸が不可欠。そして力強いアルコールの元となるのは糖度なのです。
お勧めの1本はNOA。ノアの箱舟からインスピレーションをえて命名されました。シシリアの固有品種ネロ・ダーヴォラ40%に国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが入り、とっても美しく香ります。しっかりと味わいも深いのですが洗練されたワインです。