ミシュランのガイドブックというとフランスの印象が強いのですが、ガイドブックは世界22カ国を対象にレストラン、ホテルの格付けを行っています。イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツなどのヨーロッパ諸国、アメリカ、そしてアジアでは日本だけで発行されています。
フランスに程近いスペインのカタルーニャ地方、中心都市バルセロナは首都マドリッドに次ぐ第二の都市です。建築家アントニ・ガウディや画家のサルバドール・ダリの出身地としても有名で、街並み全体が情熱的な雰囲気に包まれています。
そのカタルーニャ地方にはミシュランから3つ星を勝ち取っているレストランが3件あり、最も有名なのがEL BULLI(エルブジ)です。バルセロナから北東方向に約150キロ、地中海に面したコスタブラーバに位置し、山道を車で走っていると本当にこんなところにレストランがあるのかと疑うような景色です。
営業は4月から9月の6ヶ月間だけ、席数は50席程度です。ワンシーズンで8000人が限界のところに、噂では80万人の予約希望が世界中から殺到するとのこと。3年がかりで希望が叶い、お食事に出掛けることが出来ました。
主役はもちろん、シェフであるフェラン・アドリアの魔法のようなお料理ですが、今日はその夜いただいた特別なカタランワインのお話。そのワインの名前はL'Ermita(エルミタ)。
1989年にアルバロ・パラシオスによって設立されたワイナリーで、最上級ワイン、エルミタの生産量はわずか2300本。幻のワインと言われる理由です。アルバロ氏はリオハの名門ワインナリーに生まれ、ペトリュースで有名なクリスチャン・ムエックスにワイン造りを学んだ後、自身のワイン醸造の地としてプリオラートを選んだのです。日照量の多い地域で好まれるブドウ品種、グルナッシュが80%、国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨンが20%、フレンチオークで熟成されます。日本ではほとんど目にする事はできませんが、ネットで検索すると500ユーロぐらいででています。エルミタを直訳すると隠修所。熟成したベリーやダークチェリー、焼けた岩、香ばしいキノコ、わずかにローズマリーの香りもグラスの中に広がって、夢のような時間をワインとともに過ごしました。
さすがEL BULLI、エルミタはもちろん、その他入手困難なスペインワインがすべてオンリストされています。分厚いワインリスト以外にシャープなパソコンのワインリストもあり、遊びながら検索できますので楽しいです。10月にワンシーズン分の予約を受け付けていますので一度トライしてみませんか?