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男は革の鈍い光に弱い


男は革の鈍い光に弱い

  男性の場合、革好きな人が多いので、ご存知の方もいらっしゃると思うが、「タンナー」という言葉は聞いたことがあるだろうか?動物から採った原皮を製品にするために加工することを「鞣し(なめし)」といって、これを英語で「tan」といい、皮革製造業者「tanner(タンナー)」と呼ぶのです。もちろん世界中にいろいろなタンナーがいるが、最近、特に有名なのが、アメリカのシカゴに本社を持つホーウィン社。1905年創業というから今から100年以上前に設立された老舗中の老舗だ。


  ホーウィン社が作る革の中でも有名なのが、「コードバン」と呼ばれる希少な馬革を使った素材。牛革とは違った独特の光沢を持つ革で、アメリカの有名靴メーカーであるオールデンがこのコードバンの素材を使ってさまざまなタイプの靴を作り、日本でも人気を博している。このオールデンがホーウィン社のコードバンを大量に仕入れられるのには理由がある。1960年代にコードバンの需要が激減して、ホーウィン社が経営危機に瀕したときに、オールデンがコードバンを大量発注してこの皮革技術が途絶えることを守り抜いた。それで今でも希少なコードバンはまずオールデンに供給されるのだ。


男は革の鈍い光に弱い

  このオールデン、自社ブランド以外に、アメリカの超老舗ブルックス ブラザーズにも靴を提供している。私も約30年近く前に、アメリカに出張に行く姉に懇願してローファーを買ってきてもらった。最近久し振りに履こうと思い、下駄箱を探したが見つからず、この際だから新調しようと近所のブルックス ブラザーズに行き、オールデン製のコードバンのローファーを手にしたら、びっくり。なんとローファーの内側に「HORWEEN」の刻印が。昔はこの刻印、付いていなかったような覚えが。さらに通常のオールデンのローファーは内側に革が丁寧にきちんと貼ってあるので、この刻印が見えない。ブルックス ブラザーズの場合は、昔ながらに内側に革が貼られていないのでこの刻印を見ることができる。ホーウィン社の革自体も見たことはあるが、刻印は革に1個しか付いていなかったので、このローファーに刻印があったのもたまたまかもしれないが・・・。そんな革の刻印ひとつに惚れて大枚をはたいてしまうのも男ならでは酔狂かもしれない。

 

 

Horween Leather Company - ホーウィン社(米)
www.horween.com

 

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