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SHIPSがお手本だった


 

SHIPSがお手本だった

 先月、スタイリストでデザイナーでもある小沢宏さんの事務所からメールを頂戴した。ずっとお世話になっているSHIPSの中澤芳之さんの50歳の誕生パーティのお知らせだった。今でも現役のサーファーで、いつも若々しく素敵な格好をされているので、とても50歳には見えないが、中澤さんとのお付き合いもすでに25年以上にもなる。今は総務部長をされているが、昔はSHIPSのプレスを立ち上げ、責任者として、雑誌やテレビなどにも登場し、私がやっていたメンズクラブにも多大なるご協力をいただいた。

 

 「実は、社員番号が10番なんですよ。アメ横には中学生くらいから出入りしていたんですが、最初はミウラ(SHIPSの前身)の並びのルーフという店でアルバイトを始めました。ですが急にミウラにバイトの空きができ、働くようになったんです。一度学業と家業のために辞めたのですが、どうしても洋服に関わりたくて戻ってバイトから始めたのが、19歳頃だったと思います」

 

 SHIPSの前身であったミウラが株式会社になり、2店目のショップ、ミウラ&サンズを渋谷に開いたのが1975年、銀座にSHIPSを開いたのが1977年。ほぼこの時期に中澤さんは入社されたのだ。社員番号が10番というのも頷ける。

 

 

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 今ではなくなってしまったが、上野・アメ横にあったミウラは私もよく通っていた店だった。1坪くらいの小さな店だったが、棚にはそれまで見たこともなかったアメリカ製のスウェットシャツやTシャツ、ジーンズなどが圧倒的な物量で並んでいた。アメ横の他の店と違い、商品がきれいに畳まれて整然と陳列されているのが特徴で、中澤さんは「働くようになって、まずは掃除と服の畳み方を先輩から教わりました」と当時を懐かしむ。入り口付近の壁にコンバースやケッズ、ナイキなどの靴が並び、品揃えといい、スタッフの立ち居振る舞いといい、“凛”とした空気が流れ、店に入るのさえも勇気がいるような雰囲気の稀有な店だった。中澤さんの顔は憶えているが、とても気軽に話せるような間柄ではなかったし、当時学生だった私にとって、中澤さんもミウラもとても眩しい存在だった。あるとき棚の上の方にあった白のパンツを羨まし気に私が見ていたら「そのパンツ、キミのサイズだと思うよ」と言われ、棚から取り出してもらい、試着したら本当にピッタリで、即、購入した経験がある。店にある商品だったら隅々まですべて把握している、そんな気概がスタッフみんなにみなぎっていたような気がする。

 

 

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SHIPSがお手本だった

現在のSHIPS 銀座店。地下1階、地上3階のフロア構成で、SHIPSらしいビジネスからカジュアルのアイテムが揃う。
【店舗情報】
東京都中央区銀座3-4-15 菱進銀座ビルB1-3F
☎03-3564-5547
営業時間11:00〜20:00
http://m.shipsltd.co.jp/

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