TOP > Fashion > ファッション コンシェルジュ 小暮昌弘 > あなたは何を基準に「持ち物」を選んでいますか?

あなたは何を基準に「持ち物」を選んでいますか?


  私は基本的にバッグを持つのがあまり好きではありません。なるべくいつも身軽でいたいと思っていますし、重要なものをいつも肌身離さず、というのが身上だからです。だからというわけではないのですが、昔から、ポケットがたくさん付いた服が大好きです。取材のときなど、メモ帳やペン、録音機、デジカメなどを使い分けるケースがあるので、ポケットでいろいろなものが仕分けできると使いやすいですし、何でも服のポケットに入れてしまいます。歳をとり、だんだんモノ忘れも出てきましたので、置き忘れなども防げる、ということもあります。


  ですが、毎日の生活、特に会社に行くときなどはポケットに入らないような荷物もあり、バッグは必要になります。最近では、手帳、筆記具、雑誌、資料などはもちろんのこと、パソコンなども持ち歩くケースもままありますので、そんな時に、「手ぶら」はできません。しかも仕事の間に荷物が増えたり、けっこうな距離を歩いたりするケースがありますので、いくらかでも身軽になれるように、バッグは「軽さ」を重視して選ぶようにしています。

http://www.orvis.com/  10数年以上前でしょうか、アメリカで当時日本では珍しかったコーデュラナイロン製のビジネスバッグを買ったことがあります。ナイロン製のバッグというのは、昔はアウトドアタイプのバッグに多く、デザインも仕事向きではありませんでした。しかしそのバッグは色も黒で、収納用の大小のポケットも多数配置され、使いやすそうだ、と思ったわけです。どうぜ買うならば、B4ぐらいの書類は十分入り、厚さもあるものをと購入したのですが、そんなバッグにたくさん中身を入れたら、とても重たくて、逆に扱いづらく、結局それほど使うことはありませんでした。車や飛行機を主な移動手段とし、体力に自信のあるアメリカのビジネスマンならば、このようなバッグでも手軽に扱えるのでしょうが、とてもとても腕力のない私には扱えませんでした。そんなアメリカ人でも最近は伸縮式の持ち手と底に車輪が付いたキャリータイプのバッグを使っているケースをよく見掛けます。やはりアメリカ人でも重たいバッグは「辛い」と感じる人が増えたのかもしれません。日本でも新幹線などのホームでこの種のバッグを持つビジネスマンが増えましたね。

 

  私はカジュアルな格好をすることが多いものですから、バッグも軽さを考え、ナイロン製、しかも丈夫さをいちばんにアウトドア調のものをメインに使います。以前、紹介しましたが、アメリカのL.L.ビーンのトートバッグなどが大好きです。スーツなどのテーラードウエアを着るときも、少し「ハズシ」の感覚で、このようなバッグをコーディネイトしてしまいますが、一般の方でしたら、カジュアル調に装うときならまだしも、少しきちんとした格好にまとめたいときには、やはりシックなデザインを選ぶ必要もあるかと思います。最近ではそんな人のためにレザー製であっても、かなり軽量に仕上げたバッグが売り出されています。

 

   仕事で使うバッグは、毎日のように使うもの。ブランドやデザイン以上に、使いやすさが重要です。どんなに素敵なバッグも、持って疲れてしまうようなバッグは、日常遣いには向きません。先日、バッグの展示会に伺い、プレスの女性にそんなことを聞きましたら、「あら、そんなこと、女性はもう当たり前ですよ!」と。ブランドや名前でバッグを選ぶと思っていましたら、最近、女性は男より早い、のですね、何でも!