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「MAD MEN」って、ご存知ですか?


  1年と数カ月振りにアメリカ・ニューヨークに行ってきました。私がやっている雑誌『ダイアリーズ』の取材のためです。私はファッションを中心に取材してきたのですが、例のリーマン・ブラザーズの破綻の少し前でしたので、8月のニューヨークはちょっと異常なくらいの観光客ブームで、ホテル近くのタイムズスクウエアは深夜でもまるで原宿竹下通り以上の混雑で、しかも日本人はほとんど見つけることができない、というここ数年とはまったく様相を違っていました。


  先日の『フェリック』のファッション特集でも少し書かせていただきましたが、日本では全体のファッション傾向が英国に向かっていますが、アメリカではどうかというと、実は日本でまったく知られていない現象が起こっています。最近は日本でもアメリカのテレビ番組、例えば「HEROS」「LOST」などが放送され、話題を集めていますが、そのひとつで「MAD MEN(マッドメン)」という番組があります。これは1960年代のアメリカ広告業界の裏側を描いたドラマ。実は今年度のエミー賞を受賞しています。「MAD MEN」の「MAD」とは「MADISON」の略で、マンハッタンと東西に走るマディソン・アヴェニューに大手広告代理店が多くあったことから名付けられたのですが、何かアメコミのヒーロー風のネーミングです。

     


  この映画に登場する60年代の広告マンのスタイルが、アメリカファッション業界で話題となっているのです。細身のスーツに細身のネクタイ、それにトラッドな眼鏡やソフト帽などのアクセサリーなど、どこか話題のアメリカンデザイナー、トム・ブラウンなどの打ち出す着こなしと似ている感じがします。ニューヨーク在住の知人から、「(有名百貨店の)ブルーミングデールのウインドウも飾ったし、今はサックス・フィフス・アヴェニュー(これもNYを代表する有名百貨店)のウインドウもそうかも」といわれ、すぐに行きましたが、残念ながら、もう終了してしまったようで見ることができませんでした。アメリカのファッション誌では、ジョン・バルベイドスやマイケル・コースなどのアメリカのデザイナー、日本でも人気のニール・バレットなどのランウエイでのスーツの着こなしが「MAD MEN」的だと解説されています。パンツは細身、裾は少し短め、60年代調の着こなしは、どこかポップで、楽しく感じます。


  日本のファッション誌ですと、ほとんどが、スーツは英国へ、クラシックにまとめるのがお約束と解説するでしょうが、私は天邪鬼ですので、スーツの違った方向性ということで今回はアメリカで話題のテレビ番組「MAD MEN」にまつわるファッションの話をしました。ご興味のある方は、放送局のウエブサイトをぜひご覧ください。