TOP > Car > Car コンシェルジュ 金子浩久 > より快適に、さらに上質に進化【ボルボV70&XC70】

ボルボV70&/ボルボC70


  フルモデルチェンジしたボルボV70とXC70は、全体の造形が躍動的になった。V70に限らず、ボルボのステーションワゴンは、乗員と荷物をしっかりと積み込むことを最重要視しているから、他社のステーションワゴンのボディよりも四角張っていた。それが先代V70から、車内空間を犠牲にすることなく、エクステリア・デザインをダイナミックなものに改めてきた。新型も、その傾向にある。


ボルボV70&/ボルボC70   ボルボV70&/ボルボC70

  モデルチェンジのポイントはスタイリングを改めたほか、新エンジンの採用、ボディの大型化、各部の安全装備の充実などだ。

ボルボV70&/ボルボC70  昨年フルモデルチェンジを果たしたボルボのフラッグシップ4ドアセダン「S80」と同様に、V70とXC70はシリーズで初めて横置き6気筒エンジンを採用した。日本仕様は、2種類。238馬力 を発生する3.2リッターエンジンと、285馬力を発生する3リッターターボ「T6」エンジンだ。

  6気筒エンジンを横置きするレイアウトは世界的に見ても非常に珍しいが、ボルボ・カー・コーポレーションの社長兼CEOであるフレデリック・アルプは、そのメリットを次のように説明していた。

「エンジンを横置きにすることで、前面衝突時にエンジンがキャビンへ侵入する可能性を低減でき、同時に高効率パッケージを実現できる」

  走らせてみると、エンジンの滑らかさが印象的だった。自然吸気の3.2リッターにはキメ細かな回転フィールが、「T6」にはごく低回転からパワーが厚く重なったターボ効果が顕著だ。エンジンが滑らか で、十分にパワーが確保されていると、クルマ全体が上質に感じる。

ボルボV70&/ボルボC70   ボルボV70&/ボルボC70

  淡い色調の革やウッド、アルミを多用したインテリアは、変わらぬボルボの魅力だ。ハンス・ウエグナーやアルネ・ヤコブセンの椅子が好きな人には、すぐにピンと来るスカンジナビアン・モダンそのものだ。

  XC70の進化ぶりの大きさはうれしい驚きだ。閉鎖された傾斜の強い未舗装の山道をハイペースで走ったが、4輪駆動と専用サスペンションによる走破性能が高いだけでなく、乗り心地が非常に良好になっ た。フラットでソフトな悪路走破性は下手なSUV以上だ。

  新型V70とXC70は、ボディサイズが拡大されただけでなく、そのクオリティとステーションワゴンとしての使い勝手も、同時に大きく向上した。人間と荷物をたくさん運ぶだけでなく、上質な「ス テーションワゴンのある生活」を提案している。今までボルボに縁のなかった人たちにも強くアピールする内容を備えている。


ボルボV70&/ボルボC70
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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