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Josef Frank(ジョセフ・フランク)編


  スウェーデンの巨匠といえば、Erik Gunnar Asplund(エリック・グンナー・アスプルンド)。1885年生まれで、S’30〜40に北欧に“モダンデザイン”をもたらした歴史上の人物です。一番の代表作といえるのは、世界遺産でもある<森の墓地>のランドスケープデザイン。広大な北欧の自然を大胆に取り込んだモダンなデザインは、本当に見事です。人に威圧感や圧迫感、嫌な緊張感を与えず、誰もが亡くなった方との会話に身を委ね、同時に生への感謝や環境への尊敬を感じることができます。というのは私の訪れたときの感想ですが、きっとそういう風にいろんな人がいろんなことをニュートラルに感じられる世界なのです。

  余計なものがない壮大な世界は、デコラティブデザインの主流だったこの時代にどんなに衝撃を与えたのか!ほかにも市内の円形の図書館や、ストックホルムから電車で2時間程のヨーテボリという都市に建てられた裁判所も、しみじみいいデザインだなあと思います。

  あの時代にこのデザイン。しかも、つくるものが墓地や図書館や裁判所といった、想像するだけでもいろいろなしがらみや条件、歴史などで難しいものばかりだと考えるとすごい人だと、ただただ、ため息。

  そういうモダンデザインの歴史がある国なんだと改めて感心します。

  ただ、購入出来る家具や小物はないので、ぐっと方向を変えて、今回ご紹介するのはJosef Frank(ジョセフ・フランク)。Svenskt tenn(スヴェンスクテン)の代表デザイナーです。



  日本ではカラフルで、ポップでキュートなイメージがありますが、もともとピューターアーティストが1924年に創設し、ピューター製品をつくっていた歴史のある高級ブランドです。スウェーデンをよく知っている方から聞くと、今では男女問わずみんなの憧れで、ここの家具を持っていることはとってもステイタスだそうです。

  スカンジナビアンスタイルをつくったひとりとも言われるJosef Frank。ちょうどピューター製品だけをつくっていた時代から、家具全般を扱うようになった1934年にデザイナーとして入っています。今のSvenskt tennの家具の基本をつくった人です。

  彼はそれまでの色彩の乏しい部屋、茶色やグレーの空間に明るい色を入れたいと、いろいろな家具やファブリックのデザインをしています。中でも世界中の名前がつけられたファブリックコレクションは見ているだけでも楽しいです。Hawaiiや、Himalaya、Italian Dinnerという名前もあります! もちろんその中には“NIPPON”というのも。きっと世界の情報に乏しい時代、人々に明るい世界を提供したことでしょう!

  日本ではSvenskt tennのイメージをつくっているファブリックがよく知られていると思いますが、実はこんなしっかりした家具をつくっているのです。よく見ると、金具のディテールがとても凝っていて創設ストーリーも感じられます。私はそういうところに、とてもくすぐられます。

 
  一番はこのカップボード(1943年)。ホワイト&グリーンにウォールナット。そしてパーツの使い方が素敵。

  そうかと思えばマホガニーのガラスショーケース(1946年)のような繊細な木の技。ベースの部分とガラスの上部の間に”コマ”のような削りだしのパーツが4つ。それだけで支えています。

   
  椅子も渋めが私はお勧めです。赤いチェア(1925年)、ラタンのイージーチェア(年代不明)、バーチとウォールナットのチェア(1925年)など、さりげなく部屋に置けばあまりにもお洒落です。