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日本の「白い器」

  だいぶ長い間、北欧のデザインをご紹介していたのですが、あまりに良いデザインが多く、このままだとそのまま北欧blogになってしまうんじゃないかと思ったので、少し最近のことをお伝えします。

  先日雑誌『Numero TOKYO』というファション誌のお仕事で、「白い器」というテーマでスタイリングしました。梨花さんが撮りおろしされている号です。

  この「白い器」の特集の巻頭でも紹介されていますが、黒田泰蔵さんの作品がニューヨーク近代美術館『MoMA』に収蔵されて以来、海外でも日本でも和食器が改めて注目されています。最近では多くの雑誌でも日本の器が特集されています。捉え方もその雑誌ごとにそれぞれ違うので、読み比べても、とても面白いものです。

  実際に何を選んで紹介しようということになると、かなり興味のあるテーマなだけに何をもって「良い」のかというところで、とても深く考えさせられました。白い器専門のスタイリストがいてもいいくらいです!

  コントリビュータ紹介(制作に関わった外部スタッフの紹介ページ)のところでも編集の方に書いて頂いていますが、撮影間際まで(笑)実際にいろんな器を買って毎日使ったり触ったり、じっと眺めていたりしました……。

  今回、たくさんの作品を見て撮影をし、一番心を動かされたのは青木良太さんの作品です。

 

  青木さんは1978年生まれで、2002年多治見市陶磁器意匠研究所卒業。2004年には、スイスのジュネーブ装飾美術学校に留学。そう。とっても若い方です。お人柄の表れた直筆のお手紙やラッピングもとても美しく、お会いして話ができたら楽しいだろうな、と思いました。

  作品はぬめっとしたマットで透ける程薄く、グラスに水を入れて窓辺に置くと、外から水のラインが透けて見えるくらい。冷たいお茶を入れ、口に入れると唇の感触の上品なこと!ちょっとした衝撃ですぐに壊れそうな繊細さも素敵です。

  日本の、いわゆるカタチにはこだわらず、たぶん先入観のない等身大でピュアに考えた際の “器” を作っていることを感じます。作品には“レディースライン”と、“メンズライン”に別れているのも私にとっては親しみ易く、シリアスになりがちな器の世界を、気持ちを楽にして感じることができました。

 

  白い器は質感や厚さ、フォルムが浮き立ち、どんな使い方をしても美しく合わせやすい。しかも手で作られたものは、その作り手の緊張感を伴っているので、生活がぐっと引き締まります。テーブルの上だけでなく、デスクでの小物入れや、ペン立て、花を生けても、オブジェとして眺めても。何百年も前のハンドメイドの食器を金で接いで使い続けるのも、職人さんの作ったお皿も。是非いろいろ手にして使ってみてください。