
トーナメントプロたちは、毎週コースが変わる中で、コースコンディションや戦略に合わせて、その用途ごとに入れ替えをしながら14本のクラブセッティングを考えています。プロでさえ道具の機能に頼って少しでも良いスコアを求めているわけですから、一般のゴルファーこそ、ゴルフをより楽しく実戦的にプレーするために、ちょっとクラブセッティングを工夫して、道具の力を借りてみてはいかがでしょうか。

特にFWとUTは力強い味方となり得るので、ロフトやスペックの違うものを何種類か持っている中で、プレーするコースによって組み合わせをいろいろと考えておくと、とてもスコアメイクの頼りになると思います。
FWの特徴といえば、シャフトが長く、クラブの総重量はドライバーからの流れで、比較的軽くなっているので、スイングは大きな円弧で気持ち良く振り切れます。深くて低い重心位置によって打ち出し角度高く、ボールをしっかりと捕まえて打てるので、ターゲットをキャリーで直接狙うことができますし、深いラフやフェアウェイバンカーなどでもヘッドの抜けが良く、球筋をやさしくコントロールすることができます。
一方、UTの特徴は、アイアンからの流れでシャフトはロングアイアン並みの長さで重量もしっかりとあるので、状況に応じたスイングコントロールをしながらシャープに振り抜くことができ、トウ・ヒールバランスなどの構造によってロングアイアンよりも、はるかに慣性モーメントが大きく、フェースの直進性があるために、高弾道なストレートボールが打ちやすくなっています。
自分のプレースタイルや得手不得手だけではなく、FWとUTそれぞれの球筋を生かせるように、コースや季節のコンディションに合わせて、クラブを組み替えていくことが大切なのですが、そのセッティングのためには、まずスペックのチェックが必要です。

シャフトが長く、ヘッドの慣性モーメントが大きい大型ヘッドドライバーを使っている人は、FWでは必ず10グラム前後、重いシャフトをつけると良いと思います。UTともなればもっとシャフトは短いわけですから、アイアンと同じか、それに近いぐらい重いシャフトをつけなければなりません。なぜなら、3Wでもヘッド体積は200CC前後とドライバーの半分以下で、番手が多くなればもっとヘッドは小さく、シャフトは短くなっていくわけですから、同じ重量表示のシャフトにしてしまうと、短い分シャフト単体がドライバーよりも軽くなっているので、スイングバランスが同じ数値でも、スイングのタイミングが合わなくなってしまうからです。
そして、スイングにおいては、昨今の大型ヘッドドライバーの影響で、ティーアップを高くして、アッパー軌道でボールをヒットする方が良いと勘違いをしている弊害で、FWやUTを使いこなすことが下手になっている方や、おまじないのように、「FWやUTはソールを滑らせて打つ」と思い込んで打っている方が圧倒的に多いようです。
しかし、昨今のFWやUTの開発コンセプトは、ソール全体を滑らせてしまうと、芝との摩擦が大きくなるため、ヘッドスピードは減速されクラブの抜けが悪くなるので、そうならないように少しでも地面との接地面積を小さくしようと考えられているのです。そのためにソールが、船の舳先のようになっていたり、レールのような溝があったりしているわけです。ソールを見ると、アイアンよりもはるかに面積は広いように見えますが、実際に地面に接する「本当のソール部分」はアイアンのソール幅よりも狭くて短いのです。
ですから、アドレスをした時に、ソール全体を地面につけて滑らそうとしてスイングするのではなく、ロフトを立てるように、バックフェース側を少し持ち上げて構え、リーディングエッジをボールの下に思い切って打ち込むようにスイングすると、インパクトでつっかからずに、自動的に狭い幅でソールが滑って、抵抗なく自然にボールを拾って振り抜けるようになっているのです。
クラブの機能を理解してボールを捕らえるイメージを思い切って変えてみると、自然にFWやUTの機能の恩恵に与れて、必ずやさしく打てるようになるはずです。