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これからのゴルフスタイルを考える


  40数年ゴルフをやっていると、国外内を問わずかなりのゴルフコースを体験してきました。


  その特色として一番印象に残るのがグリーンです。


  戦後の高度成長期に合わせてゴルフ場建設ラッシュとなった時代に、ゴルフ人口の急激な増加と高温多湿による芝の管理能力への対応のため、冬用のベントグリーンを織り交ぜた2グリーンを採用した設計のゴルフ場が登場したわけですが、その後のバブルの時期に多くのゴルフ場が季節感や地域の特色関係なく、プレーヤーや運営会社の欲するままに、強制的に冬用のベントグリーンに張り替えて1グリーン化してしまい、高麗グリーンは最近では殆ど見かけなくなってしまいました。


  ただ、日本各地どのコースも同じような種類のベント芝に張り替えてしまったので、地域によっては温暖化や悪天候に対してのコンディション作りに相当苦労しています。最近は芝の改良も目覚しく進歩してきているため、新種のベント系の芝に新たな光が見えてきていますが、近年の温暖化傾向にある気候変動に合わせて、より高温多湿に合った高麗グリーンなどは、あらためて見直されても良い芝なのではないかと常々思っています。それを物語るかのように、静岡にある川奈ホテルしかり、近年訪れた高麗グリーンのコースはどこもコンディションが良く、とても満足してプレーすることができています。


  一方、USPGAツアーでは、シーズン初めから温暖な場所を選んで行なわれるために、その時期のコースはバミューダ系の芝が多くなります。ですから、そこで成功するためには、まず数十種類あるバミューダ系の芝の特徴をつかんで攻略しなければなりません。


  また、ヨーロッパに行けば、それ以上に違った、経験したことのない種類のグリーンがあり、名門セントアンドリュース・オールドコースなどは芝目がきつく、根が薄い芝で、表面は硬くクラブが弾かれてしまうような状態です。全英オープンなどで選手がウェッジを使わずにパターで転がしているのをみると納得させられます。


  このように、世界各地のゴルフコースを訪れて気づくことは、そこの地方に自然に生殖していた芝の種類でコースが成り立っているということです。ティーグランドからグリーンまでほぼ同じ種類の芝で作られている中で、刈り高や目土の具合、肥料によってコントロールされているだけなのです。


  ですから、ベントグリーンなどを化学肥料や薬品づけにして無理やり管理している日本では考えられないことですが、世界のゴルフ場の中には、国定公園や動物保護区などの自然環境の中に存在しているものが数多くあるのです。


  本来、北海道から沖縄まで南北に長い国土を持つ日本ですから、今まで以上に、その土地それぞれの気候や季節が感じられる自然な芝にゴルフ場が改良されていくことが、これからの日本のゴルフの成長につながっていくような気がしてなりません。そうなれば、ゴルファーも海外に憧れるだけではなく、国内でもいろいろな地域でプレーがしたくなるでしょうし、そのプレーの内容も訪れた地域の芝のコースを何とか攻略しようと工夫するようになり、ゴルフ本来の醍醐味をもっと味わうことができるようになるのではないでしょうか。