TOP > Lifestyle > ゴルフプロのウェブレッスン > スイングの時間は皆同じ


  ゴルフのレッスンにおいて、「スイングの身体の動きはどのクラブでも同じ」ということを、よく耳にしませんか? でも、この言葉を聞いてドライバーショットやアイアンショット、アプローチなどが、なぜ同じスイングで良いのか? と疑問に感じられる方が多いのではないでしょうか。事実、ドライバーとアプローチを比べてみると、クラブの振り幅や動きの力感は大きく違って見えます。では、何が同じなのでしょうか?

  答えは、スイングのタイミングです。しかし、雑誌等でたびたび目にする「タイミング」という言葉ですが、実は非常に抽象的で、何となく解ったようで解らない言葉なのでは?これをしっかりと具体的に理解するために「タイミングとは、カラダの動きのリズムとテンポ」というふうに考えてみたらいかがでしょう。これは「スイングの始動からフィニッシュまでの所要時間」と考えてみても良いと思います。

  正しいフルスイングの練習によって、一定の身体の使い方でスイングができるようになると、どのクラブを持って打ってみても同じタイミングになってくるのです。つまりその人のポテンシャルに合った自分自身だけのスイングの所要時間が決まってくる中で、テークバックの時間と、ダウンスイングからフィニッシュまでの時間の割合が、どのクラブでも同じになってくるということが理想的なタイミングの証なのです。

  その証拠に、トッププレーヤーのスイングの連続写真を見てみると、ドライバーでもアイアンでも、スイング全体が見事に同じコマ数で終了しているだけではなく、インパクトまでのコマ数も一致しているのです。しかし、一般のプレーヤーは殆どと言ってよいほどに、ドライバーのコマ数のほうが、アイアンのコマ数よりもかなり多くなってしまっているのが現状のようです。

  どのクラブで打ってもプロのようにスイングのタイミングを一致させるためには、インドアの練習場でボールの行方を気にしながら熱中して連打するのではなく、プロの練習方法を見習って、メトロノームを用いたり、音楽を聴くことで調子を取ったりして、自分自身の正確なタイミングを客観的に意識しながら、クラブを打ち分けて練習するべきだと思います。

  一回のスイングの所要時間はパワーヒッターで1.5秒ぐらい。一般の男性は2秒弱ぐらいで、女性でも2秒ちょっとです。その中で、コンマ何秒という僅かな時間のズレがミスショットを生んでしまうわけですから、人間の感覚だけに頼らずに、かなり緻密な練習方法が必要なのです。

  では、300ヤード近く飛ばすフルショットと100ヤード以内のコントロールショットが、なぜ同じ所要時間になってくるのでしょう? その理由は、全てのショットにおける身体の動きの順序、筋肉の使い方が同じだからです。変化するのは使い方の強さの違いなのですが、身体のパーツごとに動きの強さがバラバラになってしまうのではなく、全体の使い方がバランス良く変化することで、ミート率良く、距離を正確に打ち分けられるのです。例えるとするならば、車を運転する時のアクセルワークが、身体を使う強さをコントロールするのと同じイメージなのではないでしょうか。

  このようにして、その人自身のタイミングが出来上がってきた時のスイングの姿は、「ゆっくり振っているように見えるけれど良く飛ぶ」「ゆったりとした滑らかな動きで美しい」と言われているプロの動きに近くなってきているはずです。

  週末のトーナメント中継で勝負を楽しむのも、もちろん醍醐味のひとつですが、せっかくですから、プロのいろいろなショットを録画して、そのタイミングを真似してみることも、皆様がゴルフを楽しむコツのひとつに間違いないと思っています。