そして3つ目の西京漬け。これは最初から悩ましくて絞りきれず、2点紹介です。
西京漬けは、東京のものをご紹介します。なんといっても東京者ですから……。ひとつは、下町人形町が発祥の「魚久」の京粕漬け。
京粕漬けというからには、西京漬けって京都のもの? そうです、京の都は内陸にあるため、西京漬けは、冷凍技術などのなかった時代に都人がなんとか魚を食べるために知恵を絞った産物。魚を味噌に漬けて保存性を高めたというわけです。それが元禄時代になって江戸へももたらされ、大人気になったとか。
こうして、京都から江戸へ北上した西京漬けの中でも大好きなのはこの2店のもの。
「魚久」の粕漬けは、しっかり甘みものった仕上がり。
私は、西京漬けの一番は、銀ダラだとおもっていますが、ほどよく脂も乗ってジューシーで、ごはんに最高。さめても味がしっかりしているから、お弁当にもいいかと思います。
もうひとつ、ご紹介したいのが「蔦の家」の京華漬け。
こちらは、甘いのが苦手という人に最適だと思います。甘みはごく控えめです。でも、味はしっかりしていてジューシーなことこの上なく、ごはんにも、お酒にも合う、そういう個性を持っています。
両店とも、贈答用に様々な魚介の西京漬けを詰め合わせしたものを販売していますが、ギンダラと鮭。あとプラスしても、せいぜいサワラくらいの2~3種類に絞って贈ったほうが粋だと思います。
そうそう、ところで、大切なごはんのお米は? 私は、「会津継承米」というお米が好きです。魚沼産のコシヒカリほど、食べてすぐに甘いという感じではなく、噛みしめるほどにうまい、という感じのお米。金田中ほか、名店でも使っているそうです。
夏から食欲の秋に移行しても「ごはん」と「おいしいおとも」があれば幸せ。ま、年中幸せですけど、これさえあれば……。日本人に生まれてよかった!
■やよい