先日、ロンドンから帰ってきましたので、今回は、ロンドン最新情報をお伝えします。5年ぶりに行ってきましたが、街の変化にびっくりしました。5年以上前は、20年間くらい毎年ロンドンへいっていましたが、殆んど代わり映えがなく、最近はイタリアに毎年行っていました。
久しぶりに降り立ったヒースロー空港では、旅客ターミナルや駐車場ビルを建設中ですし、ロンドン市内のあらゆるところでビルを建てています。また、私の好きなメイフェアにある高級ホテル、コンノートも建て替えを行っていました。イギリスのポンドが強い今、ロンドンはバブル景気なんです。あの有名なハロッズ百貨店は、ウィークデーでも超満員です。以前は、土曜日は短縮営業、そして日曜日はお休みだったんですが、現在は、週末も営業しています。
さて、高級テーラーが軒を連ねるサヴィル・ロウのお店も活気があって、50万円、60万円といったフルオーダーの紳士服の注文服がどんどん売れていました。私が以前勤めていたキルガーフレンチ&スタンバレー(現在は、名前がキルガー)では、ハンドメイドショップの横におしゃれなプレタのお店を出していて、30代、40代の新しいお客様が増えていました。英国王室御用達の店で、以前は各国大使館など、それなりの方の紹介がないと行けないような高級テーラーでしたから、これも時代の流れなんでしょうね。
そんな活気のあるロンドンで、紳士服業界でも大きな流れができつつあります。今年1月イタリア・フィレンツェで行われたピッティ・ウォモというメンズの展示会で、サヴィル・ロウの職人たちが会したエキジビション「ロンドン・カット」が開催されました。「ロンドン・カット」は卓越した伝統技術が作り出す現代的なシルエットで、正統派でありながら着崩すこともできるニューブリティッシュ・スタイルです。
実は、今回私が渡英したのも、この「ロンドン・カット」を日本で展開するための視察と打ち合わせが目的でした。伝統ある「ギブス&フォーク」、「ハンツマン」、「ヘンリープール」、「キルガー」、「アンダーソン&シェパード」の各社長や役員とも会い、めったに他人を入れることのない工場や裁断室も見学させてもらいました。
「ロンドン・カット」の特徴は、肩幅が狭く、上着丈が短めで、ウエストラインを絞り、袖も細いというシルエットです。ロンドンのトレンドを強調したテーラーたちが打ち出した「ロンドン・カット」。皆さんもちょっと注目してみてください。