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コットン・シアー・サッカー


  イタリアのエルメネジルド・ゼニアの素材で51%シルク、49%コットンのシアー・サッカーが、現在人気があります。以前はコットン100%のシアー・サッカーが夏に人気があったのですが、シルクを混紡させることで、高級感を出しています。夏のみでなく、春にも秋にも着用でき、幅広く愛用できます。今回は、コットン・シアー・サッカーについてご紹介します。


コットン・シアー・サッカー  コットン製のシアー・サッカーの特性は、スーツとしてもジャケットとしても、気軽に身につけることができます。シアー・サッカーを代表する白地にブルーのストライプ柄をジャケットとして着る場合は、ネクタイなしで、白のコットンのボタン・ダウンシャツとコーディネイトします。スラックスは、サマーウールの淡いグレーにして、胸ポケットに白麻のポケットチーフを丸めてさします。また、スーツとして着る場合は、紺のニットネクタイをすれば清涼感がでてきます。

  次に軽量だということです。働く男たちの夏の洋服は、軽さが絶対条件といえます。軽量の素材は、汗をかいても肌に張り付きにくいという特性を持っています。汗を吸っても、すぐに放散するためです。動物性繊維のように体にまとわりついてこないため、さらりとした独特の肌触り感を備えています。夏の街着としてだけでなく、車の中や飛行機での衣服としても最適なものといえます。

コットン・シアー・サッカー  またシワになりにくいのも特性といえます。もともと縦糸を操作し、人工的にシワを寄せているので、シワが目立ちにくいのです。旅先でシワになっても、霧吹きで水をかけてやれば、ウール系の衣類に比べ、シワは敏速に消える。また、見た目はしんなりとしているが、通常の綿の上着に比べ、コシとハリがあります。洋服のコシとハリは身につけたときのメリハリ感に通じます。メリハリ感は、コーディネイトの幅を広くし、洗いに強いという特性もあります。麻同様、クリーニングに出すほどに体のプロポーションに寄り添ってきます。衣服の快適感とは、大ざっぱにいえば、温熱特性(熱の伝導率)、水分特性(透湿速度)、繊維特性(弾性率)などで構成されています。

  シアー・サッカーは、これらの要件を満たす機能的な素材なのです。この素材は、まさにアメリカ人好みといえます。イギリス人は、このシアー・サッカーのスーツやジャケットを着ている人はあまり見かけません。ロンドンで着用している人をたまに見かけますが、それは、アメリカからきた旅行者が多いのです。なぜ、そんなことがわかるかといえば、それは私自身が3年間ロンドンに住んで実感したためです。
株式会社神谷ガーメント 代表取締役社長。イギリス サヴィル・ロウのキルガーフレンチ&スタンバリー(現キルガー)でチーフカッターを務め、帰国後、西武百貨店顧問デザイナーを経て、株式会社テーラー神谷(現株式会社神谷ガーメント)の社長に就任。就任後は若い人でもオーダースーツが楽しめる「ニューオーダー」の開始やNHK総合テレビ月曜ドラマ「オーダーメイド」でテーラー指導、衣装製作さらには出演など、精力的に業界の活性に尽力している。
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