皆さんの職場にもこの4月に新入社員が入社されたかと思います。そんな初々しい後輩たちに、スーツのアドバイスもしてみてはいかがでしょう。
もうすでに成人式にスーツを購入し、2・3着持っている方もいるかと思いますが、社会人になると、毎日スーツを着用することになりますので、やはり、本格的なスーツが大切になります。ここは少し張り込んで、若い方向きのニューオーダーをおすすめします。既製服より、価格は一割増しになりますが、満足感は、120%以上になります。
ではまず、1着目は何がいいかと申しますと、紺無地のスリーピースです。紺無地と一言でいっても、色を選ばなければなりません。実は紺無地は、百種類以上の色があります。スーツは、紺にはじまり紺で終わるといわれています。私も今まで、200着近くのスーツをきてきましたが、いまだに紺のスーツを作ります。勿論、マテリアルは、スーパー120’s、スーパー150’s、サマーカシミアと段々とグレードアップしています。鉄紺のような深い色であれば上品です。それ以上の深い紺は、コーディネート次第で華美な印象を他人に与えます。また淡い紺に、強い色のプリントタイのコーディネートは、個性を殺してしまうのでよくありません。イタリア人好みの、紺のスーツに黄色のタイのコーディネートは、顔の黄色い日本人には似合わないと思います。黄色いタイを締めるときは、若者らしく顔を日焼けさせてからが、カッコイイかもしれません。
イギリスでは、スーツというのは、すべて共布(ともぎれ)でできたスリーピースで、日本の様にツーピースの発想はありません。ベスト付きが原則です。私も、サヴィル・ローにいたときは勿論、帰国してからもずっとスリーピースのスーツを着用していました。しかし、さすがに日本の真夏の暑さには勝てず、モヘアのツーピースを着ています。
ベストというのは、米語であって、クイーンズイングリッシュでは、ウェストコートと言います。ウェストコートというように、内着でありながら、もともと外着だったために、外着的な役割もあります。現代のベストの主な目的はおしゃれのためですが、同時に、ジャケットの予備着と考えなければいけません。上着の属性の一つは、公共の場で身に着けていても他人に不快な思いをさせないことである。シャツ姿という非礼をさけるために、英国人は上着に加えてベストという二重構造の衣服を考案しました。オフィスで仕事をする際、ちょっと上着を脱いで、ウェストコートでカッコよく、仕事をバリバリすれば、後輩たちの憧れの的になるのではないでしょうか。
まずは、品格あるスリーピースで、バッチリ決めて、後輩たちのお手本になりましょう。