小林さんのチマヨに対するこだわりはこれだけに留まらなかった。私も上越市のお店に一度伺ったことがあるが、店の中には、チマヨの生地を織る機織り機が。オルテガに通っている内に興味を持ち、ついには織機や糸まで日本に持って帰り、ついには自分でも織れるようになったのだ。現在の当主のお祝いに自作のブランケットを贈ったこともあるほど。
この原稿を書いている頃には、サンフランシスコを経由して、小さな飛行機に乗り、ニューメキシコ州の州都アルバカーキへ3時間。そこからは4WDに乗って、はるばるサンタフェへの65回目の旅を楽しんでいるのでは。と思ったら小林さんからメールが届き、今年のサンタフェは猛吹雪だとか。いやぁ、お気に入りのチマヨベストや洒落たインディアンジュエリーを手に入れるのはそう容易いものではない。情熱なくして、小林さんのような商売はできない。
「何故、こんなにも行くのか、自分でも何故だかわらないんです。ただ好きだから、なんでしょうね。でもサンタフェやチマヨは自分にとっては、第2の故郷のようなものです」
こう断言した爽やかな小林さんの笑顔がとても素敵だった。