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 「アメリカに住む生粋のアメリカ人にとってもニューメキシコ州やサンタフェは憧れの土地。サンタフェという言葉の響きにも惹かれるらしいですね。昔、アメリカに併合される前はメキシコだった地域。だからメキシコや中南米の影響もかなりある土地柄。気候や風土、音楽、建物、アメリカにありながらアメリカではないところ。異国情緒がものすごく強い街。すべてがとにかく気に入りました。帰りの飛行機に乗る頃には、この街に行き来したい、もう一度戻ってこられるような仕事をしようと決めていましたから。東京に戻って、すぐに会社を辞めようと決めました」

 

 

65回目のサンタフェ、チマヨへの旅

 

 

 その決心は揺らぐことなく、小林さんはすぐに会社を離れ、故郷の上越市で、チマヨ製品、インディアンジュエリーなどを扱うショップ「BEAR TRACK」を開いた。1990年4月22日、大安吉日の日曜日、アースデーだったという。それ以来、およそ20年、年に3〜4回、計65回、小林さんはサンタフェ、チマヨなどに通い続けている。ニューメキシコへの仕入れの旅の大きな目的はチマヨ柄のベストやジャケットやインディアンジュエリーを現地で仕入れることである。チマヨにはオルテガ、センチネラ、トルイーヨなどのチマヨベストで有名ブランドがあり、本家と言われるオルテガの商品を手に入れるためにこの街に通っている。しかし、オルテガの製品は店頭でしか手に入れることはできない。つまりチマヨにわざわざ出掛けていっても、卸値で買うことはできないのである。20年も通っている小林さんはオルテガとは旧知の仲、年4度も日本から来る人を忘れるわけはない。それでも小林さんとてチマヨ製品を手に入れるには店頭で買うしかないのである。しかもオルテガの製品は完全ハンドメイドであるから生産量は限られている。手に入る点数も行ってみなければわからないのである。小林さん以外にも世界中でチマヨ製品を販売している会社やディーラーはいるが、みんなこのようにして製品を手に入れているのである。だから、チマヨのブランケットや服が高価なことも頷ける。

 

65回目のサンタフェ、チマヨへの旅

 以前、ユナイテッドアローズ原宿本店にあるアナトミカの中村さんにチマヨベストのことを聞いたことがある。アナトミカのオーナー、ピエール・フルニエさんがアナトミカの前身であるエミスフェールをやっているときに、中村さんとフルニエさんが旅の途中でチマヨベストを見つけ、そのルーツを求め、オルテガまで行って買い求めた。フランスではなかなか手に入らないその製品はすぐに人気アイテムになったという。こんな面倒なことをする人はそうそういるものではない。オルテガの製品は本国アメリカでも、現地チマヨの店以外では、数店しか売られていないという。90年代以降、大きなブームではないが、相変わらずファンは多いので、もしかしたら世界中でいちばんチマヨ製品が流通しているのは、日本かもしれないし、ここ数年、チマヨベストは日本で特に人気が高い。

 

 

 

 

 

 

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65回目のサンタフェ、チマヨへの旅

BEAR TRACK
〒943-0832
新潟県上越市本町5-2-2 2F
Tel&Fax:025-523-1756
携帯用サイト:http://e-beartrack.com/m/
PC用サイト:http://www.e-beartrack.com
ブログ:http://beartrack.blog.so-net.ne.jp/
店名の「BEAR TRACK」の意味は現地のインディアンにいわせると、「吉兆」。また隠れた意味では、「力の象徴」と小林さんは聞いたことがあるという。