これまでの過去のEV(電気自動車)の最大の欠点は、その航続距離にあった。現在市販されている日本製のEVは80km程度しかなく、まだ実用的というにはほど遠い。その問題を安価なノートパソコン用に開発されたリチウムイオン電池で解決し、なんと航続距離を400kmまで伸ばしたのだ。さらに充電時間も3時間半にて満充電となるという。これならば東京―名古屋間を走ることも可能であり、十分に実用的であるといってもいいであろう。ハイブリッド車の存在意義を脅かすものがとうとう自動車大国から登場したのだ。ちなみにこのリチウム電池は日本製「Panasonic」が使用されている。新たに用意された日本仕様の急速充電器は200V用となっている。
実際に「テスラ 2.0ロードスター」に乗り込んでみる。エリーゼ同様のタイトなシートに身を沈めると、室内はシンプルなインテリアに多くのカーボン素材が使用されていて、スパルタンな雰囲気が溢れている。そのパフォーマンスに期待が高まるというものだ。この新時代の乗り物、ミッドシップレイアウトの加速感を味わうためにぜひ試乗会に近々参加してみようと思う。当初、国内販売用に用意された12台の多くは予約がついたようだが、まだ少しだけ可能性はあるかもしれない。
気になるそのプライスだが、Basicモデルが1280万~、Sportモデルが1470万~、Signatureモデルが1670万からとなっている。しかしクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金の制度により、今年8月、輸入普通車としては初めての対象車となり、テスラ・ロードスターの補助金額は324万円を上限として交付されるということが発表された。その希少性と動力性能を考えれば、この車はかなりリアルな数字とは言えないだろうか。さらに2012年に導入が予想されるモデル、5万ドルの「モデルS」に大いに期待したい。
Text:Takamasa Wada