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20年ぶりに都内開催となった東京モーターショー

環境をメインテーマに予想外の大盛況に

 久しぶりにモーターショーが東京に戻ってきた。東京モーターショーとはいいながら、やはり幕張での開催は足が向かなくなる。そんな車ファンが多かったのか、国際展示場は予想外の集客で賑わった。夕方からの割引や試乗会など新しい試みも成功したようだ。環境をテーマにかかげ「ハイブリッドからEV」の道を進む車業界。今回はどのような車が注目を集めたのだろうか。


Text Takamasa Wada

 

 

やはり「環境」をテーマにしたブースが多くEV化が加速

 

 ハイブリッド車で世界をリードしてきた国内メーカーだが、今回はすでに次のステップ「EV」電気自動車への方向性が明確に打ち出されていたようだ。カーオブザイヤーには日産のリーフが選ばれ、上位には環境を全面に打ち出した低燃費車がランキングした。トヨタはプリウスをさらにしのぐリッター40kmの超低燃費車アクアを発表し、プラグインハイブリッド車のプリウスもスタートして、まだまだこの世界をリードし続ける勢いだ。一方、ガソリン車でハイブリッド車並の燃費をかせぐ、マツダのスカイアクティブやダイハツのミライースなど国内勢の開発競争も凄まじい。外国車でも高級車にハイブリッドを組込むメーカーが次々と現れ、レクサスブランドも数年後にはその牙城がゆるがされないとも限らないだろう。実は今回、すでに実用段階にきているいくつかの米国製のEV車のブランド数社の展示を期待していたのだが、見送られたようだ。これらのEV車が本格的に量産を開始する数年後、世界の車市場は画期的に塗り替えられている可能性がある。日本の車産業がその時も第一線で市場をリードし続けていることを期待したい。

 

 

2012はコンパクトスポーツカーブームがやってくる?

 

 日本国内の車業界の近年の問題は若者の車離れが加速していること。特に都市部で顕著に現れているこの状況を打破しようというのか、小型スポーツカーであるトヨタ「ハチロク」とその兄弟車である「BRZ」に注目が集まった。時代の流れとは趣きを異にするこの車の前には報道陣も含めて、観客は大賑わい。しかし「クルマ好き」にとっては非現実的なコンセプトカーがひしめくかつての華やかな「モーターショー」とは隔世の感がある「現実的」なクルマが並ぶ会場で「フェラーリやランボルギーニがない会場は寂しい限り」という声も多くあげられていたようだ。それにひきかえ、近い将来、導入が確実な超小型モビリティや、バイク以上、クルマ未満の小型自動車のブースは様々な先進的なシステムを紹介して、多くの観客の目をひきつけていた。またHONDAのAC-XやBMWのi8conceptなどは環境性能を高めるクルマ業界の進むべき未来を提案しつつ、先鋭的な未来型デザインをその身にまとい、本来のクルマ好きの観客たちの熱い視線を集めていた。今年は中国やインドなどのアジア勢の台頭が見込まれる業界の流れの中で、東京モーターショーの分岐点となるイベントであったに違いないと感じられた。