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スマート・フォーツーmhd


  なにも、新しいエンジンや複雑なハイブリッドシステムを開発しなくても、燃費が数割分確実に良くなる方法がある。それは、アイドリングストップ装置をエンジンに組み付けることだ。いくつかのクルマでは散発的に行われて来ている。路線バスなどで、赤信号停車中にエンジンが止まり、走り始める時に再び掛かることを体験した人もいるだろう。トヨタ・プリウスの好燃費も、アイドリングストップ装置が大いに貢献している。


  もともと燃費に優れていたスマート・フォーツーにアイドリングストップ装置が組み込まれ、「フォーツーmhd(マイクロハイブリッドドライブ)」となった。

  フォーツーのダイレクトな運転感覚は、mhdとなっても変わらない。車速が8km/h以下に落ちた状態でフットブレーキを踏んでいると、エンジンが停止する。ブレーキペダルから足を離すと、0.35秒で再始動。8km/hという設定が絶妙で、赤信号で停まる前までエンジンブレーキを効かせながら、最後でうまい具合にフッと止まる。

  ヨーロッパの市街地では、走行65%に対して、35%が停止時間だというのがダイムラーベンツ社のデータだが、日本では停止時間がもっと多いだろう。CO2が24%削減され、10・15モード燃費は23km/lに向上する。

  駐車や車庫入れの際のOFFスイッチも設けられ、実際的だ。停止と再始動のショックは小さく、煩わしさはない。mhd化で8万円値上げしたが、行政からの補助金が3万5000円支給される。

  mhdを運転していると、燃費うんぬんよりも、停まっている時に無駄なアイドリングが停止されることが、次第に快感になってくる。赤信号で停まっている時の静寂が、こんなに気持ちいいなんて。すべてのクルマに、アイッドリングストップ装置が組み込まれてもいいくらいだ。

  それにしても、日本では停止中にエンジンを切らないクルマの、なんとまだまだ多いことか。外国では、とっくの昔から、停車中はみんなコマメにエンジンを切っている。百迷惑あって一利なし。ドライバーは、全員死刑!


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モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
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