TOP > Car > Car コンシェルジュ 金子浩久 > リンカーン・ナビゲーター

リンカーン・ナビゲーター


 アメリカの高級車ブランド、リンカーンが蘇った。


  正確に言うと、輸入元のフォード・ジャパンがリンカーンのブランド構築から新たに展開し始め、新しいクルマを導入したということになる。そのうちの一台が、ナビゲーターだ。

  ナビゲーターは、5メートルを29・5センチも超える全長、2メートル・プラス・3・5センチもの全幅を持つ巨大なクルマだ。もちろん、V8エンジン搭載。5・4リッターの排気量から発生させる304馬力で4輪を駆動するSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)。(01.jpg,02.jpg)

リンカーン・ナビゲーター   リンカーン・ナビゲーター

  絶対的に大きなクルマなのだけれども、乗り味やハンドリングなどのタッチはキメが細かい。インテリアのデザインと造りも繊細で、いわゆる“大味なアメリカ車”という先入観とは正反対のテイストを持っている。

リンカーン・ナビゲーター  そのインテリア・デザインが魅力的で、徹底したアメリカン・モダンなのだ。もし、チャールズ・イームズが今でも生きていたら、きっとこうしたのではないだろうかと妄想させるようなカッコ良さがある。ヨーロッパや日本のデザイナーでは、絶対に真似できない。

  ナビゲーターは、車台やエンジン、トランスミッションなどの主要パーツをフォード・エクスペディションと共用している。しかし、ナビゲーターには高級車ブランドであるリンカーンにふさわしいチューニングが施してあるので、静粛性や乗り心地などはエクスペディションよりも一枚上手。

  こちらまでトロけてしまいそうな、柔らかく優しい乗り心地と余裕のエンジントルクとの組み合わせが絶品。大トロのバター炒め。

  3列目シートが電動で格納と展開することができたり、ドアの開閉と連動して、自動的に格納と展開が行われるパワーランニングボード(ステップ板)などの豪華装備は、アメリカの高級車の得意分野だ。

リンカーン・ナビゲーター   リンカーン・ナビゲーター

  アメ車は、こうでなきゃ。

  デカくて、余裕の走りで、豪華装備!。日本車やヨーロッパ車を意識した、チマチマしたアメ車なんて、乗りたくない。分厚くて噛み応えがなければ、アメリカでステーキを食べた気がしないのと同じように。

  ナビゲーターは、ヨーロッパ車や日本車が逆立ちしたって作ることのできないアメリカン・ラグジャリーそのものだ。“最近は、面白そうなクルマがない”と嘆く前に、ナビゲーターに乗ってみて下さい。


リンカーン・ナビゲーター PHOTO GALLERY
モータリングライター 1961年東京生まれ。自動車と自動車にかかわる人間についての雑誌記事や単行本を執筆している。主な著書に、『10年10万キロストーリー』(1~4)、『セナと日本人』、『地球自動車旅行』、『ニッポン・ミニ・ストーリー』、『レクサスのジレンマ』、『力説自動車』などがある。ここ数年、外国を長距離クルマで走ることが続いている。2003年には、東京からロシア・ウラジオストクを経由してポルトガル・ロカ岬まで自らのトヨタ・カルディナでユーラシア大陸を横断。2006年には、ダイムラー・クライスラーのイベント『パリ~北京』に参加し、ロシア・エカテリンブルクから北京までメルセデスベンツE320CDIで走破。2007年に引き続き、今年も、『トランスシベリア2008』に出場し、総合10位、クラス9位で完走した。
http://www.kaneko-hirohisa.com/