市販車における、世界最高速の戦いは近年、米国のカスタムブランドやスウェーデンの小メーカーなどが次々と記録を打ちたてていたが、名門ブガッティ社は2005年に記録した400km超え以降、後塵を拝していた。しかし本年、その名をかけて、再度その記録にチャレンジしたのである。2010年6月4日、ドイツ、VWグループのエーラ・レッシーン・テストコースにて、TUV(ドイツ技術検査協会)とギネスブック・オブ・レコードの代表者の監視の元に行なわれ、最高出力1200psと最大トルク1500Nmを発揮した「ヴェイロン」の進化形、この「16.4 スーパースポーツ」によって最高速チャレンジを行い、431.072km/hというギネス世界新記録を打ち立てたのである。
この偉大な記録を打ち立てたのは、ブガッティの公式ドライバー、元F1レーサーでもあるピエール・アンリ・ラファネル氏。彼がこのワールドレコードチャレンジに挑み、1回目427.933km/h、2回目434.211km/hをマーク。そしてこの2回の計測の平均値、431.072kmが市販車の新しいギネス世界最高速記録に認定された。
4基のターボチャージャーを装着した8.0リッターW型16気筒エンジンを持つこのモンスターマシンのスペックはまさに想像を絶する驚異的なもの。デュアルクラッチの7速DSGとの組み合わせで、停止状態からわずか2.5秒で100km/h、6.7秒で200km/hに到達するという。そして輸入元ニコル・レーシング・ジャパンが発表したブガッティ・ヴェイロン 16.4 スーパースポーツの価格は、2億8900万円とこちらも超弩級のプライスがついている。
Text:Takamasa Wada