TOP > Watch > BREITLING ダイヤル誕生の瞬間

  真鍮板へのアラビア数字のプレス工程からスタートする。浮き出た数字をはっきり確認するためだろうか、明かりを落とした工房で行われているこの作業は、地味に思えるが、最終的なダイアルの完成度を左右する大事な工程である。 この後、プレスによって数字が浮き出た真鍮板は円形にカットされ、自動機械による脚付けの作業に送られる。この機械は、ダイアル素材を送り込むと自動的にハンダを塗布して脚を植え、さらに金属製のベルトに乗せて炉を通すことでハンダ付けが完了するというもの。



頭上で回転する大きなフライホイール。この力を利用して高い圧力を発生させるプレスマシン。一見、簡単そうに見える作業だが、素材を置くことと、プレスマシンを動かすタイミングに独特のノウハウがあるという


アラビア数字が彫り込まれたダイアルの金型。エンボス加工用金型の完成度の違いによって、美しく視認性に優れたダイアルとなるかどうか、その運命が決定される

  驚いたのは、この脚がゴールドであることだ。「なぜゴールドを用いるかといえば、低温で確実にハンダ付けができるからです。また早い段階で脚を付けるのは、着色などを施した後ではダイアルに熱を加えられないからです。なにしろ脚は、その後の工程でダイアルを固定するために絶対に必要となります。ただし固定に用いれば当然、脚に歪みが生じます。しかし、それは最終検査の段階ですべて修正されるので問題ありません」 ゴールドによるハンダ付けの特徴と必要性を説明するのは、フラポラックス社のグザビエ・ローセット氏である。



メッキと着色には電気分解が用いられる。電解液を満たした漕にダイアル素材を浸して直流電流を通すと、陽極(メッキの色に応じた金属)から金属イオンが解け出し、陰極側のダイアルに皮膜を析出させる


メッキや着色が終わったダイアルは、一工程ごとに洗浄を施され、次の工程へと進められていく。この洗浄を十分に行わないと、次の作業に支障をきたす

  この脚付けの後、工程の大半は電気分解によるメッキと着色で占められている。実はフラポラックス社の特色となっているのが、この工程における豊富な経験と独自のノウハウ。たとえばダイアルを電解漕に漬ける場合は、必ず数をそろえる必要があるという。これは色調を統一するためであり、もしも通常10個を漬ける漕であれば、たとえ8 個しかメッキ(着色)する必要がなくても、ダミーのダイアルを2枚追加することで10枚を同時に処理する。こうすることで、ダイアル1枚あたりに付着する金属イオンの量を均一化し、色調を統一することができるのである。

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