もちろん、フラポラックス社においても、メッキと着色だけで作業が終了するわけではない。これはあくまでもダイアルの下地処理の段階。最終的にはアップライト・インデックスのダイアルと同様、目盛り類のプリントと蓄光塗料の塗布、そしてブライトリングのシンボルであるウィング・マークの植え込みが必要だ。
そのプリントの工房は、ホコリの付着を防止するため、メッキ工房とはまったく別棟に隔離された環境が設定されている。それは外科手術室と同レベルのクリーンさに保たれた無塵室である。この塵やホコリを排除した部屋において、ダイアルへのプリントが行われる。この工程もまた、複雑である。たとえばクロノマット・エボリューションのインナーベゼル・リングでは4回のプリントが必要となる。また他の部分では、色にもよるが1.5回のプリントを2回繰り返すこともあるという。この1.5回とは、インクを1回つけて、2回プリントすること。さらに慎重な作業が必要とするモデルでは、プリント1回ごとにオーブンに入れて乾燥を行うことさえあるというから、やはりダイアルの製造は、高度な技術が要求される時計作りの重要ポイントである。

下地が完成したダイアルは転写ルームに持ち込まれる。ここは病院の外科手術室と同程度の無塵室。もちろん、ホコリの付着を抑えるのが目的である。やはり必要に応じて、インデックスのプリントは数度にわたり施される |

高輝度な蓄光塗料“スーパールミノヴァ”をレジン(樹脂)と混ぜ、ペンに入れてポンプで押し出して塗布する。繊細な指先の感覚が要求されるためひとりの技術者が専任で担当。最後にウィング・マークを取り付けて完成 |

TIME OF LEGENDには、最新の製造現場や時計構造の解説など「現在」のトピックがふんだんに盛り込まれています。さらに注目すべきは、3代目当主ウィリー・ブライトリングなど、ブライトリングに携わってきた人々のエピソードが、関係者のインタビューによって明らかにされています。 過去を検証し、現在を証明し、そこへ過去と現在を証言する人々の肉声が重なる...。このような立体構成により、1884年から2006年まで、クロノグラフという精密計器に生涯を捧げてきた人々の情熱が、ひしひしと伝わる内容になっています。 これこそが、ブライトリングの全てを知ることができる、唯一の集大成本だといえるでしょう。 ¥18,900(税込) 送料¥1,050 合計¥19,950
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