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歴史的瞬間だったかも!間近で感じた石川遼選手の凄さ


  10月も下旬の頃、今年から冠が変わりマイナビABCチャンピオンシップとなった、秋のビッグトーナメントに、テレビ解説として行って来たときのことです。温暖化の影響なのか、ここ数年はこの時期でも半袖で気持ちよくプレーができる気候で、初秋の気配がやっと訪れたかなといったところです。

  一昨年に芝の種類を変えて張り替えたグリーンは、年々良い仕上がりを見せていましたが、今年は何と2.6ミリカットのステップメーターで14以上というツアー史上類を見ない超高速グリーンに仕上がっていました。

歴史的瞬間だったかも!間近で感じた石川遼選手の凄さ  ツアーの強者が苦しむ中で、着実に、そして感性を生かして大胆に攻め切って優勝したのは何とプロ入り後初優勝となる石川遼選手でした。注目選手だけにテレビでも4日間ともほぼ石川選手の組に張り付いた中継だったので、じっくりと彼のすばらしい能力を見ることができ、とても感動しました。

  2週間前の日本オープンでの活躍の帰りの飛行機で、偶然にも隣り合わせになったのですが、2位という健闘をたたえて握手をした時の彼の分厚く大きな手のひらに、かつてジュニアクリニックで出会った小学生だった頃から、10年も経たないうちにこんなにも凛々しくなったのかとびっくりしたばかりだったのですが、それをこんなにも早い時期にツアー優勝という形でしっかりと証明してくれるとは考えもしませんでした。

  ゴルフツアー界にデビューしてからの彼のインタビューの受け答え方やプレーに対する考え方は、「17歳とは思えない」という簡単な表現では軽すぎる何かを常に感じてしまいます。その彼の意識や考え方、世間に対する接し方などが、不思議なことに自然に周りを変化させていっているように思います。いつの間にか男子選手のインタビューや行動、スタイルは心地よく爽やかになってきているし、ギャラリーのトーナメントを観て楽しむ方法や気持ちも変わってきているような気がするのです。

歴史的瞬間だったかも!間近で感じた石川遼選手の凄さ  そんな中で、最終日の15番のアプローチや16番のパッティング、さらには18番のウォーターショットをしている時の彼のオーラは、タイガーを思い起こさせました。今までのゴルフ中継では経験したことのない緊張感。時には鳥肌が立ち、手のひらは汗びっしょり。こんな中継は初めてでした。最後のウォーターショットのみならず、そこに至るまでの彼の4日間のプレーの数々が多くのゴルファーに感動を与えたのではないでしょうか。

  そして、感動の優勝シーン後のインタビューや表彰式での優勝スピーチ、フェアウェルパーティーでの関係者の前での挨拶、どれをとっても、あたかも数日前から原稿を練り上げていたかのような的確な言葉の表現で、しかもシンプルに自分の気持ちを全ての人に伝えてくれていたので、二重に感動しファンとなったゴルファーは多かったと思います。

  シーズン1年目でこれだけ注目されている中でのこの活躍は、本人の中では出来過ぎぐらいの気持ちだそうで、毎試合いろいろと吸収するものがたくさんあって、プレーが楽しく感じられているようです。その吸収力がこれまた並外れたものがあり、日々進化するスーパー17歳と言われる所以だと思います。しかし、それとは裏腹に、それだけ彼の疲労蓄積は大きいものがあるようです。今回もプレー後の練習は一切できないぐらいの疲労があり、毎日宿舎に直行でした。

  それでも、10時間以上の睡眠をしっかりととって体調を回復させ、次の日のスタート前の練習時間は1時間半以上たっぷりと取り、その日のウォームアップというよりも、そこでこれから将来を見据えた練習に取り組んでいるという彼のコメントを聞くと、これが石川遼という人間の魅力。そして彼が見据える目標の大きさを感じずにはいられませんでした。