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70年代のハイテク服、シェラデザインズのマウンテンパーカ

 

 

 私がはじめてシェラデザインのマウンテンパーカを手に入れたのは、確か1976年のこと。まだ日本へは正式輸入されていなかったので手に入れるのはとても大変だった。商品を買うためには、まずは商品が載ったカタログを手に入れる必要がある。でも日本にはどこにもない。アメリカからカタログを送ってもらうために、郵便局で返信用の国際郵便用の切手を購入、バークレーの本社にそれを送り、ようやくカタログを手にする。カタログに添付されたオーダーシートに書き込み、銀行で送金小切手を作ってもらい、再び郵便局に行き、書留で郵送。航空便で申し込んだので2、3週間ほどで日本に荷物が到着した旨の知らせが届く。そして三度郵便局に出向き、税金などを払って、やっと手元に届いた。商品の値段の半分くらいの経費もかけたし、時間も相当かかる。パソコンどころかファックスもないし、カードも持っていなかったから、そんな方法しかなかったのだ。しかしそんな苦労して手に入れたパーカだけに愛着も相当なもので、頻繁には着なくなった今でも手元に残してある。

 

 

70年代のハイテク服、シェラデザインズのマウンテンパーカ

 

 

 その数年後、バークレーのショップを訪ねたが、白い建物の外側には、ブランドのマークがペイントされ、白木を生かしたインテリアも素敵だった。小さな倉庫を改造したお店だったので、もしかしたらあれが、若者二人がミシンを踏んだ場所だったのかもしれない。

 

 あの頃、シェラデザインズだけでなく、アメリカの多くのアウトドアブランドがマウンテンパーカを作っていた。ウールリッチ、エディ・バウアー、REI、ノースフェイス、スノーライオン、パウダーホーン……。今でもそんなブランドの古着を見つけると、手が伸びてしまうし、けっこうな数があるから、若い人も買っているに違いない。私にとっては郷愁をそそるアイテムだが、若い人がバランスこそ違え、当時と似たような着こなしでこのマウンテンパーカを着ているのを見ると、本当にいいものは時代を超越するのだと思わずにはいられない。

 

 

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