近年、鳥を題材にした作品需要が多いためか、彼の代表的なモチーフ「=鳥」のようなイメージがだんだん定着しつつあります。ペインティングで発表された作品も数多く存在しますが、ドローイングのみで構成された作品の線の閃きは、シンプルかつ代えの利かない独特のリズムが存在します。このリズムが彼の描くモチーフに見られる動的な効果を生んでいるのではないでしょうか。
一見自由な少年のようであり、だからといって安易に真似をすることはできない。瞬間の閃きへの追求を止めないからこそ、何にでも挑戦をする。遠山敦の作品は、皆に愛され続けることで閃きを増します。大人になることで失ってしまう、追い求める楽しさがここにはあるような気がします。無心で追いかける、その楽しさを。冒頭で“お絵かき”に興味を失った子供に、絵を描く楽しみを改めて教えてあげて欲しい。そう思う反面、作品を見ることだけでも、絵は充分に楽しい気分になるんだということも改めて気づかせて欲しい。
そんなことを昔の自分に言い聞かせるのでした。